前回の
「Vol.145 本当にその子会社の経営判断は正しいですか?」
のなかでは、東芝の例をもとに、
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グループ経営管理で活用できる
「連結決算の仕組み」を構築しておくこと
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の必要性をお伝えしました。
東芝の例では、
子会社の業績が悪くても、
連結グループ全体で見た場合には、
事業として黒字である、
という判断プロセスがありました。
ということは、
当然ですが逆のパターンもあり得ます。
グループ会社個社で見た場合には、
事業が上手くいっているように見えても、
グループ全体で、その事業を見た場合には、
実は赤字であった、
といったようなケースです。
どちらかというと、
グループ経営の場合には、
このようなケースに陥るリスクの方が
高いのではないかと思います。
なぜかというと、
グループ会社とはいえ、
いったん法人組織が分かれてしまえば、
各社が個別最適を目指して活動するのが
自然の流れだからです。
そのため、
グループ経営者は意識的に
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グループ各社、グループ社員に
●グループ全体で事業を見る
●グループ最適の視点で考える
というマインドを持ってもらう努力をする
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必要があります。
グループ各社が個社最適で活動していては、
グループ全体として永続していくことは、
難しいと言えるでしょう。
そのため、
グループ経営者としては、何としてでも
「グループ最適の視点」を
グループ内に植え付ける必要があります。
ただ、ここで問題になるのが、
「どうやって『グループ最適の視点』を持ってもらうのか?」
という点です。
言うは易し、ですが、
社員に行動を変えてもらうのは、
簡単なことではありません。
この課題に対応するためには、
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現状が「グループ最適」であるかどうかが
「見える化」されていること
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が重要なことだと考えています。
そもそも「グループ最適」かどうかを
判断するための材料が「見える化」されていなければ、
経営者も、グループ社員も
「グループ最適の視点」をもつことは
難しいと言えるでしょう。
各自の感覚だけの議論になってしまいかねません。
それを避けるためにも、
連結決算の仕組みを構築して、
グループ全体を見える化したうえで、
「グループ最適」な状態であるかを
常にチェックできるようにすることが望まれます。
冒頭でお伝えした
「グループ経営管理で活用できる『連結決算の仕組み』」
とは、
ただ単に連結決算書を作成する
作業の仕組みでは不十分です。
グループ経営者にとって、
グループ最適な経営判断を下せて、
グループ社員にとって、
グループ最適な活動に導いてくれる、
そのような「連結決算の仕組み」を構築しましょう、
ということです。
そして、
そのためのまず第一歩として、
最初にやっておきたいことがあります。
それは何かというと、
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「グループ最適=●●」
というグループ内共通言語を作ること
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です。
グループ内の判断指針を明確にして、
グループ社員共通のものにしておかなければ、
判断のブレが生じてしまいますので。
あいまいになっていることが多いと思いますので、
改めて「定義」し直してみてください。