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【事例】株式会社ヒューマンウェブ

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※平成27年11月13日に株式会社ヒューマンウェブより適時開示されている「持株会社体制への移行に伴うグループ組織再編に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行
定款変更(商号及び事業目的の変更)

開示概要

●平成27年11月13日開催の取締役会において、
会社分割の方式により持株会社体制へ移行するため、
分割準備会社として100%出資子会社を4社設立し、
グループの各事業を分割準備会社4社(承継会社)に
それぞれ承継するための吸収分割を行うことを決議。

●以下の当社グループ各事業は、
承継会社4社へそれぞれ承継する。
・直営店舗事業
・新規業態店舗事業
・加工事業及び岩手大槌ヴィレッジ事業
・陸上養殖事業

●定款変更(商号及び事業目的の変更)も行うことを決議。

●さらに、新たに子会社1社を設立し、
子会社である株式会社日本かきセンターの
卸売事業を譲渡することを決議した。

●持株会社体制への移行に伴い、
平成28年4月1日付(予定)をもって、
商号を「株式会社ゼネラル・オイスター」に変更し、
引き続きグループ会社の経営管理を行う持株会社として
上場を維持する予定。

●吸収分割並びに定款変更(商号および事業目的の変更)は、
いずれも平成28年2月8日に開催予定の臨時株主総会において、
関連議案が承認可決されること
及び法令に定める関係官庁等の許認可等
その他必要な手続の完了が条件となる。

持株会社化の目的

●グループは、
「OysterInnovation オイスターの未来を創り、
食文化の進歩発展に貢献する」を経営理念に掲げ、
牡蠣の世界に新たな価値を創造することを使命に事業を展開している。

●そこで持株会社体制により、以下①②を目指す。

①「種苗、生産、加工、販売」に至るまでの、
安全を軸とした、高品質な牡蠣の六次産業化を
さらに具現化すること

②グループ各社が所在する
地域連携、地域貢献に資することを目的に、
権限と責任を各社に委譲し、自立性を高め、
意思決定スピードを加速させ、
グループの競争力を高めること

●新規業態店舗事業は、
「牡蠣の食文化をより一層広めていきたい」
との想いを込めてスタートさせるものであり、
牡蠣の新しい楽しみ方を追求し、お客様に提供していく。

持株会社体制への移行の要旨

●移行方式
吸収分割の効力発生日から円滑に事業を開始するため、
吸収分割に先立ち、100%出資する分割準備会社を設立した上で、
完全子会社である承継会社に事業を承継させる吸収分割を行う予定。
(分社型吸収分割の方式)

現状の事業系統図

kaki keitouzu

※上図は同社有価証券報告書(2015年3月期)より抜粋

STEP1

kaki transfer1

STEP2

kaki transfer2

※上図は「持株会社体制への移行に伴うグループ組織再編に関するお知らせ」より抜粋

●会社分割の日程(予定)
①吸収分割契約承認取締役会決議日(同社):平成27年11月13日
②吸収分割承認の臨時株主総会基準日公告日(同社):平成27年11月16日(予定)
③吸収分割承認臨時株主総会基準日(同社):平成27年11月30日(予定)
④分割準備会社設立日(設立登記日)(承継会社):平成27年12月1日(予定)
④吸収分割契約の締結日(同社及び承継会社):平成27年12月1日(予定)
⑤吸収分割承認臨時株主総会決議日(同社):平成28年2月8日(予定)
⑥吸収分割予定日(効力発生日):平成28年4月1日(予定)

分割する事業部門の概要

①事業内容
●ヒューマンウェブ分割準備株式会社:直営店舗事業
●ジーオー・ストア分割準備株式会社:新規業態店舗事業
●ゼネラル・オイスター・ヴィレッジ分割準備株式会社:加工事業及び岩手大槌ヴィレッジ事業
●ジーオー・ファーム分割準備株式会社:陸上養殖事業

②分割事業部門の経営成績

kaki pl

※上図・文章は「持株会社体制への移行に伴うグループ組織再編に関するお知らせ」より抜粋

Review

今回は「ヒューマンウェブ」という会社の
ホールディングス化の事例となります。

広島出身の私としては、
「牡蠣の世界に新たな価値を創造すること」
という使命を掲げ取り組む同社に、
興味がわきました。

また、
ホールディングス化の内容としても、
1つの興味深い事例だと感じています。

 

その理由は2つあります。

 

1つは、現時点ではまだ
グループ会社数がそれほど多くない会社なので、
株式上場をめざす中小企業や、
オーナー社長会社にも参考になると思われること。

そして、2つ目の理由は、
まだ事業展開がこれからの事業も含めて、
今後の事業展開を見据えて、
会社として目指すグループ組織デザインを明確にし、
先行的にホールディングス化を
決意しているように思えたからです。

 

他社事例の場合ですと、
持株会社体制への移行の背景として、
必ずと言ってよいほど、
「事業環境の厳しさ」
「事業環境変化への迅速対応」
といった外部環境について記載があります。

一方で、
今回の同社の開示には、
そのような背景については記載がされていませんでした。
(ただ単に記載が無かっただけかもしれませんが)

このようなところから、
外部環境というよりは、
「理想のグループ経営組織を作っていくことを目指したい」
という経営者の強い意志を感じます。

 

また、
ホールディングス化にあたっては、
想定外の問題も生じることがあると思いますが、
個人的には、
あまりグループ組織が複雑ではない時期、
かつ、業歴がそれほど長くなっていない時期に
取り組んだ方が効果は高いと考えています。

グループ組織が複雑になってからの取組みは
とてもエネルギーがかかりますし、
かつ、業歴が長く組織風土が
出来上がっている状況においては、
グループ社員のマインドを変えることも
容易ではないからです。

端的に表現すると
「変化への柔軟性」
と言ってよいでしょうか。

 

この「変化への柔軟性」があるうち、
かつ、次のステージを目指す成長段階にこそ、
早めに「グループ経営」の基礎づくりとしての
ホールディングス化が有効だと思っています。

その意味では、
同社のグループ規模感や
ちょうど企業として伸び盛りの時期、
といった状況でのホールディングス化は、
同様な状況にある会社においても
良い参考と刺激になるではないかと考えています。

 

個人的にも
気になる会社の1つとして、
「牡蠣の六次産業化に向けてのグループバリューチェーン」
が今後どうなっていくのか、
ウォッチしていきたいと今回改めて思いました。

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