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【マメ知識】超富裕層への管理体制強化(1/2)

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連結グループ経営を実践するうえで
社長にも知っておいていただきたい知識の解説です。

はじめに

最近は、富裕層への課税環境が
一段と厳しくなってきました。

税金は、
担税力のあるところから徴収する
という考え方が根本にあります。

たとえば、
稼ぎの高い富裕層の場合には、
稼ぎの半分以上「所得税・住民税」として
支払う状況があります。

また、
資産を持っている富裕層は
「相続税」といった形で、
やはり最高で資産価値の半分以上
税金を支払う必要があります。

税金というのは、
社会にとっては必要なものだとは思いますが、
やはり徴収される側からすると、
つらいものです。

それでも
担税力を考えると、
やはり富裕層の方が、
担税力があると考えるのが自然です。

一方で、
かなり税金を支払っているにもかかわらず、
どうしても批判の的になりやすいのが
富裕層にとってのつらいところです。

これは、
「富裕層としての宿命」
と受け入れざるを得ない現実かもしれません。

個人的には、
富裕層は担税力があるといえども、
個人への課税を多くしすぎるのは、
あまり良くないように思います。

どれだけ徳の高い富裕層でも、
稼ぎの半分を税金で納めるとなると、
金銭的・精神的痛みを伴うと思います。

富裕層になるためには、
普通では考えられないほどの
苦労・努力・痛みを伴い、
多くのものを犠牲にしながら、
頑張っているはずです。

いくら担税力があるとはいえ、
頑張っている富裕層のモチベーションを
あまりにも下げるような課税の仕組みは
避けた方がよいのでは、
と個人的には思います。

人間は1人の力だけで
富裕層になれるものではありません。

いろいろな人の協力や
社会的インフラがあって初めて
富裕層といわれるほど稼げる、
という事実もあると思います。

半分は自分の力で
半分は周りの力といった感じでしょうか。

そのため、
富裕層がみんなのために
相応の税金負担をすることは、
それほど理不尽だとは思いません。

ただ、
せめて諸々あわせても
40%以下くらいには抑えた方が
モチベーションが下がらず、
結果的には課税制度が
上手くいくような気がしています。

最近では、
富裕層が、税金の安い国へ
移住するような話をよく聞くようになりました。

個人的には、
この事実だけをもって、
富裕層を批判すべきでないように思います。

おそらく
海外へ移住する富裕層は、
もともと日本が嫌いということではないと思います。

多くの税金を負担しているにもかかわらず、
その大変さの部分にはあまり触れられません。

一方で、
稼いでいることで
批判の的にはなりやすい傾向にあります。

このような背景のなかで、
モチベーションが上がらず仕方なく移住する、
というケースの方が多いのではないかと想像します。

国による富裕層の管理体制強化

少し前置きが長くなりましたが、
富裕層にとっても、いろいろな選択肢がある現在、
富裕層の資産の動きを監視するために、
国としても富裕層管理を強化しているようです。

とくに「超」富裕層に対しての管理・調査を
強化しているとのこと。

要は、超富裕層が税金対策のために
不当な資金・資産移動等をしていないか、
監視するということです。

地域的には、
やはり大都市がまずは中心になっています。

現在では、
東京国税局、大阪国税局、名古屋国税局で
管理強化が進められていて、
今後、全国的に展開していく感じのようです。

超富裕層とは?

ここで
「超富裕層」
とは一体どのような方が対象になるのでしょうか?

国税局では、
①形式基準
②実質基準
の2つの基準を設けています。

この2つの基準を
もう少し具体的にお伝えすると、
以下のような感じです。

——————————————————–
①形式基準
見込保有資産総額が特に大きい者

②実質基準
形式基準に該当しない者のうち、
一定規模以上の資産を保有し、かつ、
国際的租税回避行為その他の富裕層固有の問題が想定され、
重点管理富裕層として
特に指定する必要があると認められる者
——————————————————–

ちなみに、
どのくらいの資産を保有していると、
①形式基準に該当するかどうかは不明です。

参考として、
株式会社野村総合研究所が公表した
推計結果(News Release 2014年11月18日)によると、
一世帯の純金融資産保有額が
●1億円以上5億円未満・・・「富裕層」
●5億円以上・・・「超富裕層」
と分類しているようです。

そして、
日本における2013年の
富裕層は95.3万世帯、
超富裕層は5.4万世帯、
いるとされています。

 

また、②実質基準にある
「重点管理富裕層」の保有資産は、
どのような観点から推定されるのでしょうか?

これは、
対象者自身が税務署に提出した
「財産債務調書等」「国外財産調書」、
「会社四季報」「マスコミ記事」など、
様々な観点から推定されるようです。

次回予告

富裕層に関する情報は
いかがでしたでしょうか?

社長として、企業として永続・成長していくうえでは
「税金と上手く付き合うこと」
が不可欠になってきます。

おそらく、
いろいろな葛藤はあるかと思いますが、
まずは現状の「富裕層管理」の実態を把握しておくことは
意味のあることだと思います。

富裕層管理については
引き続き次回触れさせていただきたいと思います。

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