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Vol.9 単一会社の限界

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複数会社化する理由は会社によって様々ですが、
私の経験上、
複数会社化を検討する際に最も多い理由は、
「新規事業のため」
です。

 

既存の事業のなかで実施する新しい取り組みや
プロジェクトもたくさんあると思いますが、
この場合は、既存の会社の範囲のなかでの
取り組みになるケースがほとんどです。

それにもかかわらず、
なぜ「新規事業」を始めるときには、
別会社を作るのでしょうか?

 

・既存の事業と切り離して管理したい。
・既存事業とつながりが薄い事業であるため、
同じ会社名のもと新規事業はやりづらい。
・別の責任者に任せたい

 

いろいろなケースがありますが、
既存の会社で新規事業をやるためには
何らかの不都合がある場合が、
その理由のほとんどだと思います。

 

そして、このような新規事業をする際に、
既存の会社の「子会社」として新規に会社を設立し、
スタートをするケースが最も多いような気がします。

Vol.9

 

形としては既存事業とは切り離され、
新規事業は別会社でスタートします。

ただ、完全に切り離されているかというと、
経営主体は基本的に同じですし、
最も影響するのが「資金の関係」です。

 

新規の会社には、当然ですが、
お金を出してくれる人や金融機関は通常存在しません。

既存の会社が親会社として出資したり貸付けしたりします。
また、経営者が追加でお金を出すこともあると思います。

そしてこのようなお金の源泉をたどると、
「既存の事業から生み出され、貯えられた資金」
行きつきます。

 

つまり、一見、別の組織で行われる新規事業も、
結局は既存事業と密接に関わり合って
成り立っているものなのです。

最初は切り離されているように見えても、
既存事業の方から新規事業の方へ
お金が次から次へと流れていくと、
既存事業に係っている関係者・社員からは
不満も出ることも少なくありません。

 

このような状態になると、
たんに会社が複数存在するだけで、
関係者の間で不満が多くなり、
逆にグループ会社内の思いがバラバラになっていきます。

また、会社が増えた分だけ
管理コストも増加していきます。

複数会社化による「理想」と「現実」。
当然両面が存在するということです。

 

このような現実(事例)を前提に、
複数会社化を検討されている経営者に、
是非もう一度考えていただきたいことがあります。

それは、

————————————————-
「複数会社化が最適な手段なのかどうか?」
「今の単一の会社だけでは本当にできないのか?」
————————————————-

ということです。

Vol.9(2)

複数会社化することによって、
様々なエネルギーを使うことになります。
管理コストも一般的には増えてしまいます。

 

また、節税的要素で複数会社化を検討される
経営者もいらっしゃいます。

法律に則った範囲で節税をしていくことは
当然重要は経営戦略ではありますが、
複数会社化によるデメリットが
節税効果を上回ってしまうケースも多々あります。

複数会社化する場合には、
このような負担を補って余りあるメリットが
必要なのです。

 

複数会社化をして連結グループ経営を実践し、
企業成長を目指す社長のことを応援したい気持ちはあります。

但し、現実をしっかりご認識されたうえで
ご判断をいただきたいと思っています。

 

複数会社化を考える社長は、
「単一会社の限界」を明確にしたうえで
チャレンジをしていただきたいと思っています。

★★★★★★★
複数の会社に分ける理由は
明確になっていますか?
★★★★★★★

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