経営者として悩みが多い問題として、
よく耳にするのが、
「後継者育成」
です。

後継者がいなくて廃業したり、
事業売却する事例も多くなってきています。

一方で、
ホールディングスのメリットとして、
「後継者育成ができる」
ということが語られることがあります。

本当に、
「ホールディングス化=後継者育成」
になるのか?

今回は、
ホールディングス化と後継者育成の関係について
私なりの考えをお伝えしてみたいと思います。

Vol.74(1)

まずよくある事例として、
オーナー社長が子息に経験を積ませるために、
子会社の社長にさせたり、
新規事業にチャレンジさせるための
子会社を作らせたり、
といったことがあります。

社長として、
リスクのとれる範囲で
後継者に実務経験を積ませる行為という意味で、
きちんと「任せる」ことができれば、
良い手法の1つなのだと思います。

但し、
このことと、ホールディングス経営の必要性は、
必ずしもリンクしません。

別にホールディングス化していなくても、
子会社を保有していたり、
新たに作ったりすることはできますし、
逆に、ホールディングス化していない
グループ経営の事例の方が多いはずです。

ということは、
「後継者育成=ホールディングス経営が有効」
というよりは、
「後継者育成=グループ経営が有効」
ということなのだと言えそうです。

Vol.74(2)

つまり、
後継者を育成できるというメリットは、
ホールディングス化により得られるメリットというよりは、
グループ経営、複数会社経営することにより得られるメリット、
言った方が正確なように思います。

それでは、
後継者育成という視点において、
ホールディングス化特有のメリットは無いのでしょうか?

私の考えとしては、
「社長の後継者を、
ホールディングカンパニーの経営人材として、
登用するのであれば、
さらなる後継者育成になる」
と思っています。

Vol.74(3)

つまり、
ホールディング経営と後継者育成は、
やはり相性が良い、
と考えています。

ホールディングス経営のなかで、
事業子会社のトップに後継者を据えて、
経験を積ませるのも1つの有効な手法ですが、
一番有効な手法は、
ホールディングカンパニー側で、
後継者に経験を積ませることだと思っています。

ここで重要なのが、
「どのような経験を積ませるのか」
という視点です。

ホールディングカンパニーの大きな役割として、
グループ全体の頭脳として、
グループ経営戦略を企画したり、
リーダーシップを発揮して、
グループ全体を引っ張っていく役割が
挙げられます。

このようなグループ全体を俯瞰的な視点で捉え、
グループ全体をコントロールし、
各事業子会社を統括管理していくことは、
グループ経営者として重要な能力・スキルです。

Vol.74(4)

このようなポジションで
後継者がマネジメントの経験を積むことができれば、
とても大きな財産になるはずです。

但し、
私としては、これだけでは
後継者育成という意味では片手落ち
だと思っています。

本当にホールディングス経営が
後継者育成という視点で効果を発揮するのは、
ホールディングカンパニーの
もう1つの役割の方だと考えています。

それは、
「子会社を支援し、助ける役割」
です。

この役割の詳細は、
Vol.65 これからのホールディングス経営の形は?
にも書いていますので、
是非ご参照いただきたいと思います。

つまり、
子会社の実態を理解し、
子会社の実行を支援し、
子会社の悩み解決をサポートしていく、
といった後方支援の役割
です。

Vol.74(5)

これからのホールディングス経営で求められるのは、
ホールディングカンパニーが
グループの先頭に立ってグループ全体を引っ張っていくとともに、
グループの最後尾にも回り込んで、
各事業子会社を後方支援していく、
というスタイルだと考えています。

これによって、
グループ各社、グループ各社員から、
信頼を勝ち取り、
「ついて行きたい」
と思われる経営になるのだと思っています。

後継者には、
グループ全体戦略の視点を持ち、
グループ全体を指揮していく能力・経験とともに、
現場を知り、現場を助け、
それにより現場から信頼され
結果的に現場を巻き込める能力・経験が、
不可欠だと思っています。

Vol.19(4)

とくに後継者のなかでも、
創業家の跡取りといった場合には、
現場の「信頼」をどのように勝ち取れるかが、
重要なカギになるはずです。

この現場の信頼を勝ち取るためのプロセスを
後継者が経験できるのが、
ホールディングス経営特有のメリットである、
と私は考えています。

繰り返しになりますが、
今回の私なりの結論としては、
「社長の後継者を、
ホールディングカンパニーの経営人材として登用し、
グループの先頭と最後尾をマネジメントする
経験を積ませることができれば、
代替わりにも負けない、
永続成長するグループ組織にできる」
と考えています。

Vol.65(1)

ホールディングカンパニーで
後継者がきちんと経験を積むことができれば、
社長も安心して経営のバトンタッチができる時期が
いずれ来るはずです。