記事一覧

Vol.31 ホールディングスによるグループ経営戦略立案

Pocket

連結グループ経営には、
従来型とホールディングス型の
2つに大きく分けられると思っています。

このうち、「従来型」の連結グループ経営とは、
メイン事業を有する親会社の経理部や企画部が
子会社の管理をする形態です。

一方で、「ホールディングス型」の連結グループ経営とは、
ホールディングカンパニーが子会社を管理する形態です。

従来型という表現が
一般的にあるわけではありません。

私がそう呼んでいるだけなのですが、
まだまだ従来型のグループ経営をしている
企業も多いと思います。

従来型の特徴は以下のような点が
あると考えています。

①親会社事業の管理が子会社管理機能より優先される
②子会社管理は空いた時間で実施される
③子会社管理業務の位置づけが不明瞭
④グループ全体の戦略≒親会社事業の戦略

Vol.29(3)

結局、従来型は、
メイン事業を有する親会社業務が
中心にある組織形態です。

メイン事業で成長してきたからこそ、
事業拡大できている事実があると思いますので、
親会社のメイン事業が優先されるのも
無理はありせん。

そして、従来型では、各子会社は、
親会社のメイン事業を見ながら、
行動することとなります。

一方で、ホールディングス型の
連結グループ経営になるとどうなるのでしょうか?

従来型では、
「親会社のメイン事業>子会社事業」
といった序列があったかもしれませんが、
ホールディングス型になると、
各事業会社の位置づけは
組織上は並列な関係になります。

Vol.29(1)

そして、並列関係にある各事業会社の
上位に位置するのがホールディングカンパニーです。

このホールディングカンパニーの役割は、
従来型ではメイン業務となり得なかった
子会社管理になります。

ホールディングス型では、
従来型の特徴として上述した点が
すべて逆転します。

つまり、ホールディングス型では、
①´子会社管理機能が独立し、親会社事業の上位になる
②´子会社管理がメインの法人ができる
③´子会社管理業務の位置づけが明確になる
④´グループ全体の戦略≒全事業の戦略
といった特徴があります。

Vol.31(1)

 

ホールディングカンパニーが
グループ全体を管理する組織形態になることで、
各子会社からしても、
どこを見て経営をすればよいかが
明確になります。

但し、ホールディングカンパニーの責任は
とても重く重要なものとなります。

これまで曖昧であった「子会社管理機能」が
取り出されて1つの法人となったのです。

言い訳はできません。

従来型では、
決してグループ最適だったとはいえない経営戦略も、
きちんとグループ全体として
企画していく必要があります。

当然、各事業会社の戦略は
各事業会社が責任をもって策定し、
実行していく必要はあります。

しかし、
ホールディングカンパニーとしては、
グループ全体の戦略を念頭に置きながら、
各社の独自戦略をまとめて、
グループ戦略と一貫性を保てるような形に
まとめていく必要があります。

従来は、グループ企業各社が
バラバラに動いていた部分もあるかもしれませんが、
ホールディングス型では、これは許されません。

ホールディングカンパニーには、
「だんご」に「串」を通すような作業が求められます。
そして、
点を線にしていく必要があります。

Vol.25(3)

「1+1>2」となるような
連結シナジーを出せるグループ戦略を立案し、
リーダーシップを発揮して、
各社の戦略実行を後押ししていく役割を担います。

これが出来て初めて、
ホールディングカンパニーは存在意義を持てます。

結果として、
連結グループ企業価値を最大化し、
見返りとしての「経営指導料」や「配当収入」を受け取れ、
ホールディングカンパニーは、
法人として存続していけるのです。

つまり、ホールディングス型の
連結グループ経営に移行すると、
グループ全体戦略を考え、
各事業の戦略を連動させる仕組みを
自ずと追求することになるのです。

これによってグループ全体としての
企業価値が向上していくのです。

責任は重いホールディングカンパニーですが、
企業成長のための手段として、
逃げずに取り組む価値はあると思いませんか?

Vol.5

従来型でいくのか?
ホールディングス型でいくのか?

経営者としての企業成長の「決意」が
問われる選択だと思います。

関連記事