※平成30年3月13日に株式会社インフォメーション・ディベロプメントより適時開示されている「持株会社制への移行準備開始に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成30年3月13日開催の取締役会において、
平成30年10月1日付(予定)で持株会社制に
移行するための準備に入ることを決議した。

●なお、持株会社制への移行は、
平成30年6月22日開催予定の当社定時株主総会での承認および
関係官庁の許認可などが得られることを条件に実施する予定。

持株会社体制への移行の背景と目的

●ITサービス業界を取り巻く環境は、
顧客ニーズの高度化にくわえ、技術革新スピードの加速化などにより、
従来になく変化の激しいものになっている。

●このような環境に対応するため、
グループは現在遂行中である中期経営計画『I-vision 50』において、
働き方改革を念頭に
「徹底した業務プロセスの改革(BPR)」
「新たな成長分野の構築」
「グループのガバナンス強化」
の3つを基本方針とし、各種施策に取り組んでいる。

●上記の基本方針を迅速かつ着実に推進し、
グループのさらなる成長の実現、および企業価値の最大化をはかるためには、
全体最適を鑑み、機動的かつ柔軟な経営判断を可能にする
グループ運営体制を構築する必要があると判断し、
持株会社制へ移行する方針を決定した。

持株会社体制への移行方法

●新設分割により、同社が展開するシステム運営管理、ソフトウエア開発等の
すべてを担う事業会社(新設会社)を新設し、当該事業を当該新設会社へ分割承継する。

●この結果、同社は、各子会社の持株会社として、
グループ戦略機能および各事業会社の管理機能を担い、
引き続き上場を維持していく。

持株会社体制への移行スケジュール

①平成30年4月27日:取締役会において関連議案の承認
②平成30年6月22日(予定):定時株主総会において関連議案の承認
③平成30年10月1日(予定):持株会社制へ移行

 

Review

今回は「インフォメーション・ディベロプメント(ID)」の事例です。

同社については、個人的に思い入れのある会社であり、
久々に同社のホームページや有価証券報告書・決算短信を
ゆっくり見てみました。

 

有価証券報告社や最新の決算短信によりますと、
同社グループの業績ですが、
以下のような感じとなっています。

—————————————————–
平成25年3月期:グループ売上高164億円、グループ経常利益4.4億円
平成26年3月期:グループ売上高175億円、グループ経常利益7.6億円
平成27年3月期:グループ売上高188億円、グループ経常利益9.9億円
平成28年3月期:グループ売上高200億円、グループ経常利益9.6億円
平成29年3月期:グループ売上高215億円、グループ経常利益11.3億円
平成30年3月期:グループ売上高232億円、グループ経常利益12.5億円
平成31年3月期(予測):グループ売上高263億円、グループ経常利益14.8億円
—————————————————–

派手さは決してありませんが、
本当に着実に成長をしていっている印象です。

 

一方で、同社の親会社単体の数字も見てみますと、
以下のような感じとなっております。

———————————–
平成25年3月期:売上高134億円、経常利益5.5億円
平成26年3月期:売上高143億円、経常利益6.9億円
平成27年3月期:売上高154億円、経常利益8.4億円
平成28年3月期:売上高187億円、経常利益9.1億円
平成29年3月期:売上高207億円、経常利益11.7億円
平成30年3月期:売上高215億円、経常利益11.4億円
———————————–

同社には10社弱の連結子会社があるとのことですが、
グループ全体の連結決算業績と、
親会社の単体決算業績がそれほど変わらない印象です。

 

おそらく子会社の役割の多くが、
システム開発、運営管理、事務代行を主業務とする
親会社の下請け的な役割(製造・制作)を担っていて、
グループ全体でみると、グループ内の取引として消去されたりして、
結果的に「連結の業績≒単体の業績」となっているのではないかと推測されます。

 

仮に、親会社と子会社が
このような役割分担であった場合に、
ホールディングス形態に移行する際には、
どのようなグループ組織デザインになっていくのでしょうか。

 

少し興味深いところなので、
今回はその点をもう少し考えてみたいと思います。

 

まず、グループ組織デザインを簡単に整理すると、

———————————
①水平型(スケールメリット)
②垂直型(バリューチェーン)
③新規型(新分野進出)
———————————

の3つに分けられると思います。

 

たとえば①の水平型の場合には、
小売業等の横展開型のビジネスの例が該当します。
M&Aを活用しながら
スケールメリットを享受していくような場合も多いと思います。

この①ケースでは、
ホールディングス化したうえで、
ホールディングカンパニーの下に並列な関係の
事業子会社を並べるというのはイメージがつきやすいです。

 

次に③新規型(新分野進出)の場合ですが、
このケースもおそらくM&Aを活用するケースが多いと思います。

積極的なM&Aとなると、
やはりホールディングス形態にしたうえで、
きちんとグループ経営管理の仕組みを構築しておくという視点は重要なため、
必然的にホールディングス化の流れになりやすい気がします。

 

そして最後に②垂直型(バリューチェーン)ですが、
このケースは、自社の分野についての川上から川下まで
バリューチェーンを強化していくような形で
グループ会社を整備していくような場合が該当します。

おそらくですが、今回のID社については、
親会社と子会社の事業上の関係が、
発注側と受注側という関係にあるような気がするため、
この②のケースに近い感じのようにも思います。

 

この②のケースの場合には、
①のケースのようなグループ会社間の並列感が少ない場合が多いと思いますので、
おそらくホールディングス化の事例としても、
①や③よりは少ない気がします。

 

ちなみに今回のID社のホールディングス化の背景や目的については
それほど多くのことは書かれていませんでしたが、
直近の開示では、

———————————–
●新設分割により、同社が展開する
システム運営管理、ソフトウエア開発等の
すべてを担う事業会社(新設会社)を新設し、
当該事業を当該新設会社へ分割承継する

●この結果、同社は各子会社の持株会社として、
グループ戦略機能および各事業会社の管理機能を担う
———————————–

と追加公表がありました。

 

この内容から推察すると、
同社のグループ組織デザインとしては、
上記②の「垂直型(バリューチェーン)」を基本としつつ、
そのシステム開発・運用を担う機能については、
上記①の水平型を意識しながらグループ経営を強化していく
という流れのような気がしています。
(その過程ではM&Aの活用も想定されます)

 

今回は、勝手な推測も交えながら、
グループ組織デザインを
①水平型(スケールメリット)
②垂直型(バリューチェーン)
③新規型(新分野進出)
といった整理をしてみました。

ただ、上記①~③のどのデザインであっても、
グループ経営機能を専門化するという目的で、
ホールディングス化を活用することは、
共通の考え方として存在すると思います。

 

今回の事例のID社のホールディングス化の目的にも

———————————–
ホールディングカンパニーは
グループ戦略機能および各事業会社の管理機能を担う
———————————–

とりあります。

これはまさに
「グループ経営機能を専門化」
だといえます。

 

ということで、
同社の今後のグループ組織デザインと、
ホールディングス化の効果については、
個人的に注視をしてみたいと思います。

 

★★★★★★★
グループ経営機能を「専門化」する
ホールディングス経営
★★★★★★★