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Vol.219 ホールディングス経営のメリット(勝手な持論)

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ホールディングス化のメリットとは?

先日、ある経営者から、
「ホールディングス化する一番のメリットって何なんでしょうか?」
と聞かれました。

その経営者の方とは初めてお会いしたのですが、
私が自己紹介する際に、
「ホールディングスやグループ経営について専門にしている」
といったようなことをお伝えした際に
いただいた質問でした。

 

普段は、ホールディングスについて
なんらかの理由で、すでに悩んでいたりする方からの相談が多いため、
その悩みを切り口に回答をしていくことが多いのですが、
上記のご質問は、
全くホールディングスについて考えたこともない経営者からの
純粋な疑問・質問でした。

ホールディングスについて
好き勝手に書いたり、分析したりしていますが、
意外とこのようなシンプルな質問は本質的なところを突いていて
恥ずかしながら、一瞬、頭の中で考え込んでしまいました。
(口には出しませんでしたが・・・)

 

数年前にホールディングス化のメリット・デメリットについて
記事を書いたことはあるのですが、
当時と比べると、私自身も少しずつスタンスも変わってきていますし、
事例分析も進んできました。

ということで、このあたりで
ホールディングス経営のメリット(持論)について
改めて自分の中で整理をしてみたいと思います。

 

事例を通じて

このサイトで取り上げさせていただいている事例
100社近くになってきました。

開示資料として公開されていることから
事例紹介として活用しやすいという理由で、
すべて上場会社の事例です。

私自身のクライアントについての状況は公開できないこともあり、
一般に公開されている情報をもとに
分析したり、持論を主張したりできるという点でも
上場会社の開示資料は助かるところです。

 

また、私自身の好き嫌いという点で、
節税を主目的としたようなホールディングス化は、
あまり情熱がわかない分野のため、
企業成長を前提としてホールディングス化に挑む
上場会社の事例の方がしっくりくるという点も、
上場会社の事例をご紹介している理由の1つです。

そのため、上場をしていない会社であっても、
上場を目指す会社や企業成長を目指す会社には
上場会社事例から得られるものはあるのではないかと思います。

 

ちなみに、
多くの事例から感じる傾向としては、

———————————————————–
・小さな組織でもホールディングス化が進んできている
・グループ会社数が少なくてもホールディングス化が進んできている
———————————————————–

といった点が挙げられます。

 

また、
ホールディングス化の背景・理由としては、

———————————————————–
・積極的なM&A
・グループ全体最適となるような経営資源配分
・グループの戦略機能と実行機能の分離
———————————————————–

といったあたりが定番になっている印象です。

 

ホールディングス経営のメリットとは?

グループ経営においてやるべきことは、
ホールディングス型であっても、そうでなくても、
基本的には変わらないと思っています。

そのため、
ホールディングス経営でなくても
やるべきことがきちんとできていたり、
グループ全体が上手く回っているのであれば、
それはそれでよいのだと思います。
(あえて組織デザインを変えるリスクをとらなくてもよいと思います)

 

ただ、グループ経営の現場においては、
多くの会社では、まだまだ課題が山積みといった状況が
多いのではないかと思います。

このようなグループ経営上の経営課題を
ホールディングス化という手段を活用して解決していく、ということは、
とても効果のある決断だと感じています。

 

他社事例をみていても、
「別に今すぐホールディングス化しなくてもよいのでは?」
と思ってしまいそうな事例もありましたが、
その裏には、
「現状を変えていきたい」
「将来の企業成長に向けて今のうちに基盤整備をしておきたい」
という経営者としての決意があったのだと思います。

 

グループ経営のために、
わざわざ新たに1つの会社を作ったり、組織を大きく変えたり、
必要に応じて、子会社の数を増やしたりするのですから、
ホールディングス化にはそれなりのメリットを期待しているはずです。

それでは、
多くのグループ経営者は、
ホールディングス化に何を期待しているのでしょうか?

 

これは、あくまで個人的な見解ですが、
多くのグループ経営現場の課題の根本にある

—————————-
グループ全体視点の欠如
グループ全体調整機能の欠如
—————————-

という問題を解決していくことを
期待しているのではないかと思っています。

 

グループ経営を専門化していく時代へ

グループ経営といっても、
グループ会社の各社ごとが
1法人として予算があり、目標があり、
そして納税もしていきます。

自然に任せて経営をしていくと、
グループ各社が各社最適で動いていくのは、
当然のことだと思います。

 

このような自然な流れを上手く利用しつつも、
グループ全体のバランスを図り、グループ全体最適を実現していくことが、
グループ経営においてはとても重要な要素だと思いますが、
これまでのグループ経営の現場においては、
なかなかそのような機能が存在しなかったり、
そのような機能を評価する仕組みが少なかったと思います。

このような弱点を克服していくために、
各社はこれまでもいろいろとチャレンジをしてきたのだと思います。
ただ、なかなか良い結果が出せないことが多く、
いろいろと悩んだ結果、自然と行き着くのが
「ホールディングス型の組織」
ということなのではないかと感じています。

 

つまり、
グループ全体最適の視点をもって、
グループ全体の調整役を担い、
グループ全体としての経営にコミットをしていくことを
存在意義とした「ホールディングカンパニー」という法人組織を設けること。

ホールディングカンパニーが存在することで、
「グループ全体としての経営」という役割・権限が明確になり、
「グループ全体としての経営」に対する評価体制や責任も明確にできます。

 

このような「組織のカタチ」を整備し、
グループ社内に意志表示をすることこそが、
ホールディングス化の最大のメリットなのではないか。
そのように私個人としては感じています。

 

ということで、
今回のテーマである「ホールディングス化のメリット」について、
私なりの考えを最後にまとめてみますと、

——————————————–
ホールディングス化して
「グループ経営」機能を独立専門化することで、
グループ全体最適な経営を実現していくための
「きっかけ」「仕組み」を作れること
——————————————–

と表現してみたいと思います。

あまりスッキリした表現にまとめられていませんが…、
このなかでもとくに、
・グループ経営の独立専門化
・きっかけ
がキーワードだと思っています。

★★★★★★★
ホールディングス化のメリット
★★★★★★★

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