※平成29年7月21日にシンワアートオークション株式会社より適時開示されている「会社分割(簡易吸収分割・略式吸収分割)による持株会社体制への移行準備開始決定、分割準備会社設立及び商号の変更ならびに定款の一部変更に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成29年7月21日開催の取締役会において、
持株会社体制への移行に関する準備を開始することを決議。

持株会社体制への移行の背景と目的

●欧米では古くから定着している公開の場で
誰でも参加できる美術品の取引形態である「オークション」を
日本の市場に普及・浸透させるために設立され、
以来「公明正大且つ信用あるオークション市場の創造と拡大」という理念のもと、
28 年にわたり公開オークションを通じて多くの富裕層との繋がりを培ってきた。

●その中で、よりきめ細かくお客様の多様なニーズにお応えしつつ、
経営面においては外的要因の影響を比較的受けにくい新規事業により
将来にわたる収益の源泉を確保し、
中期的な財務上の課題の具体的解決を図ることを目的として、
これまでにエネルギー関連事業、医療機関向け支援事業、保険事業等、
さまざまな事業領域への拡大を図ってきた。

●このような状況下、企業グループとして
今後さらなる成長と企業価値の最大化を実現するためには、
・グループ成長戦略の立案機能と実現機能を分化し、
・グループ経営の意思決定の迅速化を図るとともに、
・グループ各社が事業環境の変化に柔軟に対応できる体制を構築すること
が望ましいと考え、
持株会社体制へ移行するための準備を開始することを決定した。

持株会社体制への移行の要旨

●同社を分割会社とする会社分割により、
オークション関連事業を100%出資する分割準備会社に継承させる予定。

会社分割の日程

①分割準備会社の設立:平成29年8月1日(予定)
②吸収分割契約承認取締役会:平成29年9月中旬(予定)
③吸収分割契約締結:平成29年9月中旬(予定)
④吸収分割の効力発生日:平成29年12月1日(予定)

 

Review

今回は「シンワアートオークション」の事例です。

オークション事業をメイン事業としている会社です。
ただ、このオークション事業は、経営面においては
外的要因を比較的受けやすいビジネスのようでもあるようです。

 

そこで、
外的要因の影響を比較的受けにくい新規事業により
将来にわたる収益の源泉を確保し、
中期的な財務上の課題の具体的解決を図ることを目的として、
これまでに
・エネルギー関連事業
・医療機関向け支援事業
・保険事業
といったさまざまな事業領域への拡大を図ってきた経緯があるとのこと。

 

確かに同社の連結子会社が5社程度あるようですが、
それぞれの子会社が、上記の新規事業に関連する会社のようです。

イメージとしては、
事業ごとに子会社が存在するといった感じですので、
「多角化するグループ事業を全体で管理するためにホールディングス化する」
という背景はすでに見受けられます。

 

親会社のメイン事業であるオークション事業を
ホールディングス化とともに分割準備子会社に引き継ぐことで、
オークション事業も他の新規事業も並列のカタチが実現でき、
親会社であるホールディングカンパニーは、
多角化する事業を全体管理するといったカタチです。

 

同社の有価証券報告書や決算短信のセグメント情報も見てみると、
確かにメイン事業であったはずのオークション事業の売上や利益の割合は、
相対的に低下している印象がありますし、
オークション事業がかなり不安定な事業であることも見てとれます。

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<平成27年5月期>
・オークション関連事業
 売上高:約11億円/セグメント利益:約5百万円
・エネルギー関連事業
 売上高:約18億円/セグメント利益:約75百万円

<平成28年5月期>
・オークション関連事業
 売上高:約12億円/セグメント利益:約90百万円
・エネルギー関連事業
 売上高:約27億円/セグメント利益:約15百万円

<平成29年5月期>
・オークション関連事業
 売上高:約9億円/セグメント利益:約▲110百万円
・エネルギー関連事業
 売上高:約44億円/セグメント利益:約480百万円
————————————————

 

数値の規模感からすると、
新規事業の方がメイン事業になってきていると言っても
良いかもしれません。

同社の「対処すべき課題」としても、
収益の柱になる新規事業の模索について掲げられていますし、
この傾向はますます強まるものと思われます。

ちなみに、今回ホールディングス化にあたり、
親会社(ホールディングカンパニー)の商号から「オークション」というフレーズがなくなるようですが、
オークション事業以外の事業への展開を意識した面もあるのかもしれません。

 

さらに興味深いところとして、
従業員数についても触れておきたいと思います。

 

同社グループにおける従業員数は
現時点でグループ全体でも50名程度のようです。

グループ会社数が「親会社&子会社5社」とのことなので、
子会社1社あたりの従業員数は、
単純平均すると10名未満という規模になります。
(実際には、小規模の新規事業があるためバラツキはあると思いますが)

 

そして、この規模からすると、
ホールディングカンパニー(親会社)の人材も
限られた人数になると思われます。

 

いかがでしょうか?

一般的にホールディングス経営というと
大規模組織をイメージしがちですが、
それほど大人数で実施している事業でなくても、
事業ごとに分社化して、それらを全体コントロールする形の
ホールディングス経営というカタチがあり得る、
ということです。

 

ということで、
今回の事例でした。

★★★★★★★
事業規模が小さくても
ホールディングス化は可能?
★★★★★★★