※平成29年2月16日にシンプロメンテ株式会社より適時開示されている「持株会社体制への移行方針決定に関するお知らせ」「資本提携及び業務提携に関する基本合意書締結のお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行
資本提携及び業務提携

開示概要

●平成29年2月16日開催の取締役会において、
平成29年9月1日を目途に持株会社体制へ移行する方針を決定し、
その準備を開始することを決議した。

●平成29年2月16日開催の取締役会において、
株式会社乃村工藝社との間で資本提携及び業務提携に向けた基本合意書を締結し、
協議を開始することを決議した。

●なお、持株会社体制への移行については、
乃村工藝社との資本提携・業務提携の最終的な諸条件を定める契約の締結
及び平成29年5月下旬に開催予定の当社定時株主総会決議を条件とする。

乃村工藝社との資本提携及び業務提携の基本合意の目的及び理由

●同社は、飲食及び物販・小売り店舗チェーンを中心に、
現在全国27,000を超える店舗等にメンテナンスサービスを提供している。

●店舗にある設備・機器や内外装の不具合についての対応依頼を受け付け、
独自の協力会社のネットワークを用いて、お客様に成り代わり、
修理・修繕、管理業務をワンストップで行う店舗メンテナンスアウトソーサーである。

●一方、乃村工藝社は、連結子会社12社を含めた
乃村工藝社グループでディスプレイ事業を中心に事業展開をしている。

●乃村工藝社の子会社である株式会社テスコは、
飲食店を中心とする店舗設備・機器(ファシリティ)のメンテナンス
及び新設・改装を主要な事業内容とする会社である。

●今回の両社の合意により、
乃村工藝社の完全子会社であるテスコを完全子会社化
店舗メンテナンス業界でナンバーワンとなること、その上で、
店舗内装等ディスプレイ業界ナンバーワンである乃村工藝社グループとの協業をもとに
主にチェーン展開型店舗を持つ企業へのより一層のサービスを提供することを目的として、
提携に向けた具体的な検討を開始する。

●これにより、両社の「事業ネットワーク」「サービス」「人材」に係る
経営資源及びノウハウの統合強化売上規模の拡大によるスケールメリットの追求により、
経営基盤を一層強固なものとしつつ、両社の事業機会を拡大させ、
相互の企業価値の向上をはかることを目指す。

提携の基本合意の内容

①テスコ株式を株式交換により子会社化
テスコは、シンプロメンテと同様、店舗の設備等のメンテナンス事業を行っている。

シンプロメンテを株式交換完全親会社、
テスコを株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを検討している。

乃村工藝社が所有するテスコの株式に代えて、
シンプロメンテの自己株式及び普通株式並びに金銭を交付し、
テスコを完全子会社とする予定である。

対価は、今後実施するデュー・ディリジェンスの結果を踏まえ、
協議する予定であり、現状は未定であるが、
株式交換に際して乃村工藝社に交付するシンプロメンテ株式は、
発行済株式数の10%を目途とする。

②合弁会社等の設立・運営
シンプロメンテ及びテスコそれぞれのメンテナンス事業等から派生する
飲食店等の新設・改装需要に応えることを目的とし、
シンプロメンテ及び乃村工藝社グループによる合弁会社等の設立・運営を検討している。
詳細は、今後、両社で協議していく。

③国内外における協業
売上規模の拡大によるスケールメリットの追求により、
経営基盤を一層強固なものとしつつ、
シンプロメンテ及び乃村工藝社グループの国内外における事業機会を拡大させ、
相互の企業価値の向上を図ることを目的として、
相互の顧客紹介、人材の交流・育成、新サービスの検討・開発等の協業を行うことを、
今後、両社で協議していく。

持株会社体制移行の目的

●飲食及び物販・小売り店舗チェーンを中心に、
店舗等にメンテナンスサービスを展開するメンテナンス事業を基盤事業として
安定的に規模を拡大しきた。

●持株会社体制への移行により、
テスコを完全子会社としてグループ化することを計画している。

●この戦略遂行を迅速に企業価値の向上につなげるためにも、
各事業会社の責任体制の明確化を図るとともに、
今後、M&A戦略を機動的かつ迅速に進めていくためにも
グループ運営体制を構築することが望ましいと判断し、
持株会社体制へ移行する方針を決定した。

持株会社体制への移行方法

具体的な移行スキーム、持株会社体制後の経営及び事業運営体制については、
今後検討を重ね、取締役会での決議次第、適時開示していく。

持株会社体制への移行スケジュール

①平成29年3月下旬:持株会社体制移行準備にあたり設立する分割準備会社の設立
②平成29年5月下旬:定時株主総会においての持株会社化の承認
③平成29年9月1日:持株会社体制への移行

Review

今回は「シンプロメンテ」の事例です

同社の場合は、
「資本提携・事業提携に伴うホールディングス化」
の事例と言ってもよいでしょう。

 

同社は、
飲食及び物販・小売り店舗チェーンを中心に、
店舗等にメンテナンスサービスを提供していますが、
とくにグループ会社とかは有さず、
単一企業として成長してきている会社のようです。

 

順調に売上・利益水準も拡大している様子はうかがえますが、
今回は、さらなる事業規模・事業機会の拡大を目指し、
周辺領域としてシナジーが見込める他社(乃村工藝社)と提携し、
かつ、その乃村工藝社のグループ会社の1つである同業事業会社の株式を取得して、
子会社化するとのことです。

この過程で、
初めてのグループ経営になることもあり、
一気にホールディングス体制に移行するという決断をしたようです。

 

事業環境がますます厳しくなるこれからは、

—————————–
自社グループ内のシナジーをきちんと発揮することと、
親和性のある他社と協業しながらシナジーを発揮すること、
の2つを上手く使い分けること
—————————–

が重要になってくると思います。

 

このような「共創」の時代において、
きちんと「グループ経営を経営する」仕組みを整備する姿勢は、
今後の事業継続・拡大していく上では
とても重要なことだと思います。

 

どうしてもM&A等で規模拡大をしていくことばかりが注目されがちですが、
他社文化を受け入れ、自社グループで力を発揮してもらい、
シナジー効果を生み出していける仕組みをもっていなければ、
結局は、規模拡大による悪影響の方のインパクトが大きくなってしまいます。

グループ経営を経営する仕組みをきちんと整備することも
グループ経営者としてはとても重要な視点ですので、
その手段としての「ホールディングス化」はとても効果的だと思います。

 

前回ご紹介した
【事例】株式会社デジタルアイデンティティ
のケースでも同様な傾向がありましたが、
最近は小規模組織によるホールディングス化の事例が増えているように思います。

今回のシンプロメンテの有価証券報告書(平成28年2月期)にも
「事業等のリスク」のところに、以下のような記載がありました。

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①小規模組織であることについて
当社は、当該事業年度末現在、取締役5名、監査役3名、従業員76名
と小規模組織で事業展開しており、内部管理体制もこの組織規模に応じたものになっております。
今後は事業拡大と共に人材の育成・増強と内部管理体制の一層の充実を図る予定であります。
しかしながら、優秀な人材の確保が予定どおり進まなかった場合、
また既存の主要な人材が社外に流出した場合には、
当社の経営活動に支障が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

②現経営陣への依存について
当社経営陣は、創業者を始めとして、
メンテナンス業務及び当該業務に付随する
特有の管理業務に関する豊富な経験と知識を有しており、
当社の経営方針・利益計画の策定及び執行、メンテキーパーに対する管理等につき、
重要な役割を果たしております。
当社は、組織体制の整備を図り、特定の取締役に依存しない体制の構築に努めておりますが、
予期せぬ事情により、当該取締役が離職した場合には、
当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
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今回のシンプロメンテの場合は、
現在は単一会社として事業をしているので、
子会社が1社増えるだけでもマネジメントの仕組みは大きく変わり、
その負担も大きいと思われます。

 

組織規模にあった組織デザインや
マネジメント体制を構築していかなければ、
どこかで破たんをしてしまいます。

小規模組織が拡大をしていくうえでは、
どうしても組織的な問題が出てくるだろう、
という不安を経営者として当然感じるもので、
そのような不安を事前にケアしていくための決断が、
今回のホールディングス化の背景にはあったのではないか、
と勝手に推測しました。

 

グループ経営、同業他社との協業、M&A、
といったことがより活性化すると思われる今後の経営の現場においては、
グループ会社の数や組織規模にかかわらず、
ホールディングス化を検討する会社が増えていくのでは。
最近のホールディングス化の事例を見ていると、感じる次第です。

 

規模の大小に限らず、

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グループ経営を経営する仕組み
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を構築することは、
グループ経営者の重要な役割の1つだと思います。

 

★★★★★★★
小規模組織でも、
グループ会社が少なくても、
初めての子会社取得でも、
ホールディングス。
★★★★★★★