ホールディングカンパニーとグループ経営戦略

ホールディングス経営は
グループ経営を「専門化」する
グループ組織デザインだと言えます。

ホールディングカンパニーが
グループの経営を戦略的に実践していく、
ということになりますが、
今回は「グループ経営戦略」における
“ホールディングカンパニーの役割”
について思うところを書いてみたいと思います。

 

まず最初にですが、
グループ経営戦略において、
ホールディングカンパニーが担う役割には、
どのようなものがあるのでしょうか?

 

グループとしての経営の方向性や
商品戦略、エリア戦略、
マーケティングや経営数値の計画、
いろいろな視点があり切り口はいろいろですが、
今回は以下の2つの視点で
グループ経営戦略について考えてみたいと思います。

その2つの視点とは、

———————–
①戦略の「立案」
②戦略の「実行」
———————–

です。

グループ戦略の「立案」と「実行」

一般的には、
経営戦略の話になると、
戦略「立案」の方が
フォーカスされがちな傾向があります。

ホールディングス化する会社の事例においても、
ホールディングカンパニーの機能として
グループ経営戦略を立案する役割を
期待するようなケースも散見されます。

 

これはこれで間違ってはいないと思うのですが、
個人的には、

—————————————
ホールディングカンパニーの最重要ミッションは、
“①グループ経営戦略の「立案」”することよりも、
“②グループ経営戦略の「実行」”を支援すること
—————————————

だと考えています。

 

戦略立案自体が間違ってしまうと、
実行も何もない、という考え方もありますが、
今の情報化社会においては、
「戦略自体もコモディティ化している」
と一般的に言われていますし、
私自身も実際にそうなのだと感じています。

そのため、
戦略自体よって生じる差より、
戦略の「実行力」によって生じる差の方が、
企業競争力の差に大きな影響を与えます。

 

この「実行力」について、
苦労をしていない会社は無いと思います。

「実行力」を上げようと、
どの会社も頑張っている時代のなかで、
「グループ全体の実行力」を
どれだけ高められるかで、
グループ経営の優劣が決まってくる
言っても過言ではないでしょう。

 

そう考えると、
自ずとホールディングカンパニーとしての
最重要ミッションは見えてきます。

 

ホールディングカンパニー自体は、
事業会社ではないため、
あくまで事業の「実行」は
事業子会社にかかっていると言えます。

そのなかでの
ホールディングカンパニーの役割は、

—————————-
事業子会社の戦略の「実行」を
どれだけ支援できるか
—————————-

が最重要だと言えるでしょう。

ホールディングス経営であることの優位性

一般的に、
ホールディングス型ではない
グループ組織デザインの場合、
「子会社の戦略『実行』を支援する」
という役割が曖昧になりがちです。

そのための専門職が無いことが多いためです。

 

一方で、
ホールディングス経営の場合には、
「子会社の戦略『実行』を支援する」
という役割が明確に存在する、
と考えています。

ホールディングカンパニーの存在です。

 

ホールディングス経営の場合には、
・事業を直接は実行せず
・「グループ経営」を専門的に経営する
組織として、
ホールディングカンパニーが存在します。

基本的には、
ホールディングカンパニーは、
外部顧客からの直接の収入はありません。

グループ会社である事業子会社が
戦略を「実行」し、
きちんと稼いでくれて初めて、
その稼ぎを原資として、
ホールディングカンパニーも
事業子会社から収益を得ることができます。

 

つまり、
ホールディングカンパニーが存続するためには、
グループ経営戦略の「立案」だけでは不十分で、
事業子会社の戦略「実行」を支援することが
最重要ミッションだと私は考えます。

そう考えると、
ホールディングス経営という形態は、
必然的に、
「子会社の戦略『実行』を支援する」
という役割を担う機能が存在するため、
合理的なグループ組織デザインといえます。

 

ここに、
ホールディングス経営のメリットが
あると言ってもよいかもしれません。

実行支援はどのように実施する?

それでは具体的に、
ホールディングカンパニーは、
どのように事業子会社の戦略の「実行」を
支援することができるのでしょうか?

 

各事業子会社の戦略実行は、
まずは各事業会社の社長や管理者の責任のもと
遂行されるはずです。

ホールディングカンパニーは、
あくまで「実行の”支援“」という立場になりますが、
事業子会社のために
何をしてあげられるのでしょうか?

 

いろいろな「支援」の形はあると思いますが、
今回は、私の考える「支援」の形について
1つ挙げてみたいと思います。

それは、

————————–
事業子会社の「PDCA」の
「C」を支援すること
————————–

です。

 

今の時代、
多くの会社において、
「PDCAサイクルを回しましょう」
ということは言われ続け、
現場でも意識をしているキーワードでしょう。

一方で、このPDCAサイクルを回していくのは、
頭では分かっていても、
実践していくのは容易ではありません。

 

まず「P(Plan)」を立てる時点で、
現場の思考が止まってしまうものです。

また、
立案した「P(Plan)」の質にもよりますが、
実際に「D(Do)」が伴わないことも
よくあることです。

このように、
P⇒Dと進むだけでも
結構大変だということです。

 

但し、多くの会社で、
この「PDCA」サイクルが上手く回らないのは、
「P」や「D」の部分の問題というよりは、
おそらく「C(Check)」のところに問題があるのではないか、
と個人的には思っております。

つまり、人は、
誰かにチェックされ続けるからこそ、
考え、動き続けるものです。

仮に質の低い「P」や「D」であっても、
考え、動き続ければ、形になっていき、
次第に「質」を伴ってくるものです。
圧倒的な「量」は「質」を作りますので。

 

つまり、重要な視点は、

——————————
どれだけ「P」や「D」が不十分でも
「C」の部分さえ機能していれば、
PDCAサイクルは回っていく
——————————

という点を意識して組織内の「仕組み」を作っていくことです。

PDCAサイクルが回るかどうかは、
「C」の部分にかかっているということです。

 

そして一般的に、この「C」の部分は、
各事業会社の管理者や社長が担う役割になると思いますが、
この役割がきちんと果たされないことが多い、
というもの実情ではないでしょうか?

この「C」の部分が機能せず、
気づけば、取組み自体が忘れ去れていくプロジェクトを
私も何度も見てきました。

 

それほど「C」というのは、
大切な役割であるにもかかわらず、
機能させていくのが難しい行為
と言ってもよいかもしれません。

 

そこで、重要になるのが
ホールディングカンパニーの存在です。

ついつい機能しなくなりがちな
事業子会社の「PDCA」の「C」の部分を
ホールディングカンパニーがチェック(C)するのです。

 

さきほど、
ホールディングカンパニーの「支援」の方として、

————————–
事業子会社の「PDCA」の
「C」を支援すること
————————–

と表現しましたが、
これは、

————————————
事業子会社の「PDCA」の「C」の部分を
さらにチェック(C)する役割を担う
————————————-

ということです。

 

いわば、
「PDC『C』A」
といったイメージでしょうか。

 

これが、
グループ経営の戦略が
「実行」される組織にしていくために、
ホールディングカンパニーに求められている役割なのではないか、
と思う次第です。

★★★★★★★
PDCAサイクルの「C」が
機能しているかをチェックする仕組みを
作っていますか?
★★★★★★★