業務の標準化

会社規模大きくなってくると、
どうしても「仕組み」で経営をしていくことを
目指すステージがやってくるものです。

社員がバラバラに動いていては、
組織全体の生産性が悪くなってしまうからです。

そのようななかで
よく使われるキーワードは、
「マニュアル作り」
「業務の標準化」
といった言葉ではないでしょうか。

 

ただ一方で、
必要性は理解されてはいるものの
「マニュアル化」や「標準化」が
悪い例として語られることもあります。

独自性が無いとか、
考えることをしなくなるとか、
応用が効かないと、
マニュアル人間だから・・・、とか。

 

とは言え、個人的には
それなりの組織規模になってきたら、
ある部分の業務については、
標準化していくべきだと考えています。

業務の標準化は必要なのか?

なぜ業務の標準化が必要なのか?

この問いについては、
それほど多くを語る必要はないと思います。

やはり、
誰がやっても同じレベルの仕事ができることは、
重要な視点ですし、
会社全体としての品質維持にもつながります。

 

当然、マニュアル化や標準化によって
別の弊害が生じることは否定しませんが、
そのようなデメリット以上のメリットがあるのであれば、
マニュアル化・標準化に取り組む価値はあるはずです。

何事にも表と裏があり、
メリットだけの取組みは無いと思います。

メリットとデメリットを比較して、
メリットの方が大きいのであれば、
取り組む価値があると言ってよいでしょう。

 

以前「数字至上主義は正か悪か?」というテーマで
コラムを書きましたが、
メリット・デメリットという意味では、
同じような趣旨だと思っています。

マニュアル化や業務の標準化に全く取り組まずして、
その価値を否定することには、
説得力が無い主張だと思っています。

「業務の標準化」を唱える際に注意すべき点

私も、普段、クライアントに
「業務の標準化」の仕組みを構築するための
指導をする機会は多いです。

 

たとえば「連結決算」の仕組みを作るにしても、
一部の知識のある社員だけが理解し、
取り組めれば良いというわけではありません。

「連結決算」についても、
きちんと業務を標準化したうえで、
多くの社員が「連結決算」に関与し、
みんなで「連結決算」を作れるようになれれば、
理想的だと考えています。

 

ただ、
業務の標準化を進めていくうえで
注意すべき点があることも
最近はとくに意識するようになりました。

というのも、
私自身、業務の標準化について、
改めて考えさせられる機会があったからです。

 

昨年末に私の事務所で
新しく社員(Bさん)を採用したのですが、
そのときに既存の社員(Aさん)に、
私がこのように伝えました。

「今後、いろいろな業務において、
AさんとBさんで毎月とか毎年とか
交代で実施できるようになるのが理想的だと思っています。
たとえば、●●社の業務を
今後AさんとBさんで交代でできると良いのですが。」

 

こう伝えたところ、
Aさんは、内容自体は理解をしてくれていたようでしたが、
少し納得していないような表情をしていました。

私はあまり深く考えていませんでしたが、
後日、Aさんから以下のようなニュアンスのことを言われました。

「やっぱりBさんには、
私の代わりは難しいと思います。
経験も違いますし、
仕事に対する意識や知識量も全然違いますし。」

「●●社の業務は結構特徴があるので、
Bさんに引き継ぐには、まだ早いと思います。」

 

この言葉を聞いて
私自身少し反省をしました。

理屈では「業務の標準化」は正しいと思っていますのが、
そのような理屈だけでは現場は納得しない、
ということを痛感したからです。

 

確かに、これまでクライアントに
業務の標準化を指導している局面でも、
クライアント社員のなかには、
同様な反応はあったように思います。

 

また自分自身の過去を振り返っても
そういえば同様な状況はありました。

私がまだ20代の頃、
某監査法人で働いていたのですが、
事務所のルールで担当クライアントが
ほとんど変わったことがありました。

当時の私は、
担当クライアントに思い入れもありましたし、
自分が一番担当クライアントのことを理解している、
という思いもありましたので、
事務所のルールというだけの理由で
担当が機械的に変わるのに、
とても不満や残念な思いを抱き、
モチベーションが下がった記憶があります。

自分の仕事が、
他の誰でもができるかのごとく、
機械的に簡単に担当替えされることに
自分の存在意義を否定されたような思いが
当時はあったように思います。

「業務の標準化」は誰のため?

結局、
「業務の標準化=誰でもできる仕事」
ということを意味するとも捉えられるため、
頑張っている社員、優秀な社員からすると、
かなり微妙な表現だと言えます。

頑張っている社員や優秀な社員には
誰にも負けない努力と
それに裏打ちされたプライドがあります。

そのような努力やプライドを
簡単に否定する考え方・フレーズが、
「業務の標準化」
とも言えるのです。

 

やる気のある社員、
責任感の強い社員、
優秀な社員、頑張っている社員が
やる気を失う取り組みになっては、
本末転倒です。

 

つまり、
業務の標準化を考える際にも、

————————————
業務の裏には必ず「社員」が存在し、
社員の思い(心)とセットになっている
————————————

ということを
経営トップがきちんと意識したうえで
現場にその真意を丁寧に説明し、
取り組まなければ上手くいかない、
ということです。

 

社員の心を置き去りにして、
「業務の標準化」「マニュアル化」
を唱えても結果がついて来ないのだと思います。

とくに、
頑張っている社員、優秀な社員への配慮は、
欠かせません。

 

「業務の標準化」
「マニュアル化」

 

とても重要な取り組みだと思いますし、
これまで私もサービスの1つとして取り組んできましたが、
本当に現場に根付かせるには、
結構難しいテーマです。

自身のサービスも
本当に現場に根付く形に
まだまだブラッシュアップする必要がありそうです。

★★★★★★★
「業務の標準化」は
現場に受け入れられていますか?
★★★★★★★