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Vol.168 みんなで「連結決算」を作るには?

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みんなで作る連結決算

前回の「(Q9)」において、
連結決算をグループ経営に役立たせる
仕組みを作るには、

——————————–
どれだけ経営者自らが
連結決算に主体的に関与し、
どれだけ多くのグループ社員が
連結決算に主体的に協力するか
——————————–

が重要である
とお伝えさせていただきました。

 

私の理想形は、
「みんなで作る連結決算」
です。

 

なぜかというと、
連結決算自体を
グループ経営に活用できる仕組みにするには、
全社員が主体的に連結決算に関与する必要があると
思うからです。

 

連結決算というと、
どうしても一部の専門家や、
経理担当者の仕事だと思われがちですし、
実際に多くの会社の実態は、
残念ながらその通りです。

ただ、
それでは「もったいない」と思うのです。

 

連結決算のプロセス作りは、
まさにグループバリューチェーン作りそのものであり、
グループ各業務に関わられている全社員にとって
密接に関係することと言っても過言ではありません。

連結決算に関与すればするほど、
グループ全体のことがわかるようになりますし、
各社員にとって、
「グループの中における自分の存在意義」
に気づけるチャンスになります。

 

それにもかかわらず、連結決算業務を
一部の専門家や経理担当者の仕事にして
ブラックボックス的な業務にしておくのは、
とてももったいないと思うのです。

「何で、この情報が必要なんですか?」

「連結決算」を進めていく中では、
グループ各社、各業務に関わる情報が
必要になってきます。

一方で、
連結決算業務の中で
各関係者から情報を集めていると、
「何で、この情報が必要なんですか?」
という反応を受けることも多いものです。

 

業務や部署が異なると、
他の業務のことはわかりづらいものです。

ましてや「連結決算」となると、
まったく別世界の他人事だとも思われる社員がほとんどです。

そして、
その情報の必要性の意図がわからないため、
多くの関係者が非協力的になったり、
優先順位が低くなってしまいます。

 

このような状況のなか、
連結決算という業務は、
限られた担当者だけの専門作業になっていきます。

そして、そのうち
「連結決算=ブラックボックス」
だと言われるようになっていきます。

 

本来、
「連結決算=みんなで作って、みんなで活用する」
という形になれば理想的なのですが、
自然に任せていると、
残念ながらそうはなってくれません。

「連結決算=ブラックボックス」から脱却するためには?

それでは、
「連結決算=ブラックボックス」
ではなく、
「連結決算=みんなで作って、みんなで活用する」
にするためには、
どうすればよいのでしょうか?

 

解決法は1つしかありません。

 

それは、

————————————-
グループの各社員に、
「連結決算とは?」
の説明を諦めずにやり続ける
————————————-

ということです。

 

何かとっておきの「裏技」を
お伝えできればよかったのですが、
残念ながら近道はありません。

 

ただ、
ほとんどの会社において、
「連結決算とは?」を
社内に説明する努力をしていません。

努力をしていない、
というよりは、
最初から諦めている、
と言った方が適切かもしれません。

 

興味が無い社員に説明するのは
とても難解な業務です。

短期的には
説明しない道を歩んだ方が
楽かもしれません。

 

それでも、中長期的な視点で
「『グループ経営』を経営」していくためには、
やはり「連結決算を説明する」ステップを
省略せずに、面倒くさがらず、
必要性を訴えていく必要があると思います。

こちらの道の方を選んだ方が、
徐々に楽になっていくはずです。

誰が何を説明するのか?

それでは、
「連結決算とは?」
をグループ社内で理解してもらうためには、
・誰が
・何を
説明する必要があるのでしょうか?

 

まず「何を」説明するかですが、
これは、ずばり以下の①~④です。

——————————–
①連結会計の知識(10%)
②経営者の理解(30%)
③グループ組織デザインの状況(30%)
④グループ内コミュニケーション・協力関係(30%)
——————————–

この①~④は、
前回の「(Q9)」のなかで、
連結決算業務の要素として
ご紹介したものです。

 

連結決算業務の要素を説明することで、
「連結決算はみんなで作るもの」
という認識に変えていただき、
自分の業務の1つであることを
納得してもらう必要があるのです。

 

そのうえで、
これを「誰が」説明するか、
ですが、
誰がグループ社内に
説明をしていくのが良いのでしょうか?

 

私なりの答えは、

—————————–
社長自らが、
グループ社内に、
「連結決算とは?」を説明するべき
—————————–

と考えています。

 

当然、細部の説明や補足は、
CFOや経理部の担当者、専門家に
任せても問題ありません。

但し、
「連結決算とは?」の全体像については、
まずは社長に説明をしていただきたいところです。

 

グループ全社員を巻き込み、
本当の意味で、
「みんなで作る連結決算」
にするためには、
社長の言葉で説明する必要があると思うのです。

 

そのためには、
社長自らも「連結決算とは?」について、
頑張って勉強する必要があるということです。

 

イメージとしては、

——————————
経理部以外の社員以上
経理部社員以下
——————————

のレベルで「連結決算とは?」を
社長自らが語れることが
目標なのではないかと思います。

補足:社長が社内に「連結決算とは?」を説明するために

連結決算の知識がないけれど、
連結決算を勉強したい意欲のある社長向けに
何らかの情報を4月、5月くらいに提供できれば、
と考えております。

どのような形になるか、
まだ何も考えておりませんが、
ご興味がある社長には、
4月に入ったら改めてご案内をさせていただきます。

★★★★★★★
社長自ら、
連結決算を語れますか?
★★★★★★★

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