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今週の「減らす」決断(2015年11月16日~11月20日)

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平成27年11月16日~11月20日の適時開示情報をもとに、
「子会社を減らす」決断をした事例をご紹介いたします。

はじめに

今週は2件の事例をご紹介させていただきます。
「子会社を減らす」という決断は勇気がいるものですが、
経営者として重要な仕事の1つです。

是非、各事例における経営者の決断から
学べる部分を学ばせていただきましょう。

事例1)株式会社ロジネットジャパン

<概要>

●完全子会社である札幌通運株式会社
および株式会社ロジネットジャパン西日本は、
平成27年11月20日開催の両社取締役会において、
平成28年4月1日をもって、
札幌通運の保有事業を会社分割(吸収分割)の方法により、
株式会社ロジネットジャパン西日本に承継させることを決議。

<背景>

●平成17年10月に
札幌通運と中央通運株式会社の
共同株式移転により発足した。

●平成24年1月にはさらなる事業領域の拡大のため、
ロジネットジャパン西日本の全株式を取得して傘下に収め、
日本全国の物流ネットワーク拡充を進めてきた。

●グループの主力事業会社であります札幌通運は、
従前より西日本・中部地区に拠点展開し、
主に本州から北海道向けの輸送業務を中心に
業容を拡大してきた。

●札幌通運は、さらに最近では、
本州域内や九州・中四国向けといった
全国向けの物流事業を大きく伸長させてきたことにより、
ロジネットジャパン西日本と
事業エリア・業務内容が重複するようになった。

●西日本・中部地区での
事業シナジー追求と、総合物流の営業力強化、
またグループのガバナンス体制の強化を目的として、
札幌通運の中部以西の事業を分割し、
ロジネットジャパン西日本と統合する組織再編を行うこととした。

●ロジネットジャパン西日本は、
今期に入って徐々に経営改革の成果が現れ始め、
10月単月で黒字へと転換した。

●この流れを更に加速させ、
ロジネットジャパン西日本を名実ともに
グループの中核企業へと成長させるため、
組織再編でグループ内の経営資源を再配分し、
西日本・中部地区での積極的な事業展開と
グループ全体の収益性向上を期する。

●組織再編によって、グループは、
札幌通運、中央通運と、新生ロジネットジャパン西日本
という3つのコアをもった体制で再出発するが、
これを機に、日本全国で
多様な顧客ニーズに対応できる体制を盤石にして、
さらなる業容拡大、業績向上を目指す。

事例2)エーザイ株式会社

<概要>

●100%子会社であるエーディア株式会社の
全株式を譲渡する旨の株式譲渡契約を
積水化学工業株式会社と締結した。

<背景>

●エーディアは、昭和 29 年に
三光純薬株式会社として創業し、
臨床検査薬、 臨床検査用機器、研究用試薬、
理化学機器の製造・輸入・販売を行う
エーザイの100%子会社である。

●平成2年10月に
エーザイと三光純薬が資本提携を実施し、
平成19年4月に三光純薬を
エーザイの完全子会社にした。

●平成23年4月には
社名をエーディア株式会社として、
グループの国内医薬品事業(エーザイジャパン)における
診断薬事業の中核を担ってきた。

●また、エーディア
積水化学工業の100%子会社である
積水メディカル株式会社は、
平成19年10月の共同研究開発契約締結を皮切りに、
臨床検査薬の共同開発から製造、販売にいたるまで
幅広くパートナーシップを構築してきた

●この度、エーディアと積水メディカルの
これまでのパートナーシップをさらに進展させることで、
事業の規模拡大のみならず、
両社の技術・ノウハウの統合による研究開発力の強化や
積水メディカルの国内外のインフラを用いた販売シナジーが期待でき、
エーディアの持続的成長とさらなる発展につながると考え、
保有するエーディアの全株式(100%)を
積水化学工業に譲渡することとした。

●なお、エーザイと、
エーディアおよび積水メディカルにおける
既存の国内製品の販売を含むパートナーシップは継続される。

●エーザイは、がん、神経領域を中心とした
医薬品事業に経営資源を集中させており、
診断薬事業においては、
プレシジョンメディスン・個別化医療の創出をめざした
研究・技術開発に引き続き注力していく。

レビュー

今週は2つの事例となります。

 

まず1つ目の事例は、
子会社の事業を子会社間で移管する、
といった内容です。

もともと同事業であった会社同士が、
連合する形で「ロジネットジャパン」社が
出来あがった背景があるようです。

そのなかで、
傘下の子会社同士で
事業領域(エリア・業務内容)が
徐々に重複してきたため、
グループ経営資源を再分配する目的で、
「会社分割」で事業移管をする、
ということです。

グループとして成長を続けていると、
どうしても当初のグループ組織デザインでは
整理ができなくなるものです。

その際には、
同じグループ組織内においても、
・会社分割
・事業譲渡
・合併
・清算
といった「組織再編」手法を活用して、
デザインを見直すことになります。

 

2つ目の事例は
子会社株式を譲渡する内容です。

エーザイの子会社である
エーディアの株式を
事業パートナー先である
積水化学工業に譲渡する、
というものです。

開示資料を見る限り、
エーディア社は安定して利益を生んでいますので、
後ろ向きな「譲渡」では無いように、思います。

エーザイとしては、株式譲渡後も、
エーディアや積水化学工業グループとの
パートナーシップは続けていく、
とのことですし、「発展的解消」といった
イメージでしょうか。

開示資料の中には、
「エーザイは、がん、神経領域を中心とした
医薬品事業に経営資源を集中させている」
といった旨の表現もありました。

おそらく
グループ内の経営資源の投入先を
改めて検討・判断した結果の
今回の子会社株式譲渡なのだと思います。

 

以上、今週の事例でした。

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