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Vol.40 ホールディングス移行で本当にスピードアップするのか?

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ホールディングス移行にすることによって、
意思決定の迅速化を図っていく、
といった事例をよく見かけます。

専門書等にも、
ホールディングス化の目的・効果の1つとして、
意思決定の迅速化というものが
挙げられたりもします。

その大きな理由としては、
権限を各事業会社に委譲するため、
という説明が多いように思います。

別会社を作ったり、複数会社化していくと、
自然と組織が肥大化し、
意思決定のスピードが遅くなる、
といったことは一般的にはよくあると思います。

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そのため、このような問題点を解決するために、
グループ企業の再編を試みることは自然な流れですが、
個人的には、なぜ
「ホールディングス化⇒意思決定の迅速化」
になるのか疑問に思っていました。

本当に企業グループとして
意思決定を迅速化したいのであれば、
たとえば、
「すべてのグループ企業を統合して1つの会社にする」
といった選択肢もあると思います。

また、ホールディングス化することで、
確かに資本関係は変わってきますが、
グループ経営の実態が変わらない限り、
実質的な権限者も変わらず、
意思決定の迅速化にはつながらないのではないか。

確かに理論上は、
・ホールディングス化して、
・各事業会社に権限を委譲して
・意思決定の迅速化を図る
という流れはきれいな説明のように思います。

頭では理解できる説明なのですが、
どうしても
「ホールディングス化⇒意思決定の迅速化」
という実務イメージがすぐにはできません。

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別にホールディングスにしなくても、
適切な役職者に権限を委譲すれば、
意思決定の迅速化はできるはずです。

それでもホールディングス経営への移行で
意思決定の迅速化を目指すのは、
なぜなのでしょうか?

おそらく「形」を変えることで、
これまで変えられなかった実態を変えられるのでは、
という期待があるからなのだと思います。

それでは、
このホールディングスという「形」を活用することで、
本当に、この期待に応えられるのでしょうか?

私になりに行きついた結論としては、
ホールディングス化することで、
メイン事業(≒親会社事業)の経営思考が変わり、
結果的にグループとしての意思決定の迅速化につながる、
可能性がある、ということです。

一般的には、
メイン事業を実施しているのは親会社であり、
これが連結グループ経営の中核になる場合が多いです。

親会社は、子会社に対して、
いろいろと厳しい要求をするものですが、
親会社自身については甘さがでることがあります。

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たとえば、
親会社自身は実施していないにもかかわらず、
子会社には厳しい期限を要求したり、
不要な資料やデータまで依頼したり、
といったことがよくあります。

どうしても親子の関係が前提にあると、
親会社は上から目線になってしまうものです。

これが、ホールディングス経営になると、
これまで親会社であったメイン事業も、
他の子会社同様に、
一子会社として横一列の関係になります。

そうすると自ずと、
これまで子会社に要求していたレベルのことを
メイン事業でも同様に要求されることになります。

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他人事だったことが自分事になると、
これまで要求していた不要なデータや資料を
無くす方向で効率化されたりもします。

また、いろいろな期限について、
メイン事業においても他の子会社同様に
厳しい水準に設定されるようになります。

つまり、
以下のような公式が成り立つのではないか、
ということです。

<公式>
①ホールディングス化をする
②メイン事業(≒これまでの親会社)と他事業(≒子会社)が横一列になる
③すべての事業の上下関係が無くなり、同一レベルで管理をされる
④メイン事業だからといった甘えは通用しなくなる
⑤子会社だけが実施していたような不必要な作業も削られる
⑥グループ会社(各事業)が良い競争関係を構築し、切磋琢磨する
⑦メイン事業の経営の質が上がる
⑧結果的にグループとしての意思決定の迅速化につながる

ホールディングス経営に移行した会社が、
どのような意図で、
「意思決定の迅速化」「権限委譲」
といったキーフレーズを使用しているかはわかりません。

おそらく、最初は「形から入る」といった要素は強いと思います。

個人的には、ホールディングス経営の特徴は、
「形から入る経営」であり、
「経営者の意志を明確にする経営」である、
と考えています。

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大切なのは、
このホールディングスという「形」を
徐々に「実態」につなげていけるかどうか、
ということです。

経営者としては、
ホールディングスを「形」だけで終わらせないように、
動く「仕組み」になるように、
挑戦し続けていただきたいと思います。

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