グループ経営の難しさ
グループ経営を進めていくと、
必ず、社員数が増え、組織の数も増えます。
それに応じて、
グループ内の各所に情報が散乱し、
作成されるデータ・資料も増加します。
ということは、
必ず全体像の把握が難しくなったり、
重要な点が見えづらくなったり、
という事象が生じてきます。
経営の立場からも、
また、現場の立場からも、
「もっとシンプルにしたい」
という思いが強まりますが、
複雑化していく流れは強まるばかりで、
そう簡単には止められません。
グループ経営を管理する機能
複雑化しやすいグループ経営の現場では、
グループ全体を管理する機能(グループ経営管理機能)が
有効に働いてくれるかどうかが重要になります。
一般的には、
グループ経営管理部門だったり、
ホールディングカンパニーであったり、
シェアードサービスセンターだったりが、
グループ経営を管理する役割を担うことになると思います。
このような部門・組織には、
グループ経営を管理するために必要なスキルや能力を
有している人材を配置したり、
そのようスキル・能力を育成するためのプランをもって
人材教育をしていく必要があります。
グループ経営管理を担う重要なポストに、
やみくもに人材配置をしたり、
育成プランをもたずに人事異動をするのは、
グループ経営にとっては致命傷と言ってもよいかもしれません。
個人的には、
このようなグループ経営を支える管理人材には、
複雑なもの、多くの情報をきちんと整理する力(整理力)が
重要なスキル・能力として求められると思っています。
グループ経営管理に必要なスキル
複雑になりがちなグループ経営をシンプルにまとめて、
グループ経営に役立つ形に編集していくためには、
グループ経営を支える管理人材の「整理力」が欠かせません。
そして、
この「整理力」を駆使して、
—————————-
①グループ情報をとりあえず集める
②グループ情報をとりあえず並べる
③グループ情報に管理軸をもたせて整理する
④グループ情報をシンプルにする
⑤グループ情報を資料化する
—————————-
といったようなプロセスを回していくことが
重要だと思っています。
グループ経営のあらゆる情報を
このサイクルに落とし込んでいけるかどうか。
そして、このプロセスを、
できるだけ効率的、かつ迅速に実行していけるかどうか。
グループ経営管理機能のなかに、
このようなプロセスを構築できている会社とできていない会社とでは、
グループ全体の生産性が大きく異なってきます。
グループ経営で苦しんでいる経営者は、
自社のグループ経営管理機能のなかに、
グループ情報を整理し、編集し、
シンプル化するような仕組みがあるかどうか、
是非、確認をしてみていただければと思います。
「整理力」以外に重要な「力」
ちなみに、
—————————-
①グループ情報をとりあえず集める
②グループ情報をとりあえず並べる
③グループ情報に管理軸をもたせて整理する
④グループ情報をシンプルにする
⑤グループ情報を資料化する
—————————-
のプロセスを回していくためには、
「整理力」以外にも重要な要素があります。
というのも、
②~⑤については「整理力」を鍛えれば、
上手く回っていきやすいのですが、
一方で、①については「整理力」以外のスキル・能力が
必要になってくるからです。
それは、
「集める力」
です。
グループ各社に点在する情報を
きちんと集めることができなければ、
整理する段階にもいけません。
その意味で、
「集める力」
は、とても重要な要素になります。
「集める力」
但し、「集める」という行為は、相手が存在する行為であり、
集めたい側の思いだけでは上手くいきません。
たとえば、
子会社の担当者や、他部署の人材の協力なくしては、
グループに点在する情報を集めるのは難しいでしょう。
当然、立場や権力を利用して
強制的に情報を集めることはできるかもしれませんが、
このようなやり方では限界がありますし、
集まる情報の精度も低いものになるはずです。
理想的なカタチとしては、
・集めたいときにすぐグループ情報を集められる状態
・自動的に情報が集まってくる状態
といったカタチだと思います。
それでは、このような状態は、
いかにして作ることができるのでしょうか?
やはり、
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信頼感・一体感・連帯感
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といったところに行き着く気がします。
情報は信頼できる人に集まります。
情報は助けて欲しい人のところに集まってきます。
情報は嫌いな人のところには集まってきません。
グループ経営管理部門やグループ経営管理人材は、
自然と重要な情報が集まってくるような存在になるような努力が
常日頃から必要だということだと思います。
グループ経営管理機能は一般的には、
親会社のなかに位置付けられることが多いため、
どうしても、子会社に対して「上から目線」になりがちです。
ただ、この「上から目線」だけでは、
情報が集まる状態は作りづらいと思います。
グループ経営管理部門やグループ経営管理人材には、
このような「上から目線」ではなくて、「子会社と同じ目線」をもったうえで、
常日頃から子会社を支援していく姿勢が求められるのではないかと思っています。
資本関係としては親会社、子会社の違いはあっても、
同じグループの仲間として一体感・連帯感をもち、
お互いが信頼しあって、助け合う姿勢。
このような姿勢があって初めて、
グループ経営管理機能が有効に機能していくのではないか。
このように思う次第です。