連結グループ経営を実践するうえで社長にも知っておいていただきたい用語の解説です。
解説
グループ経営を進めていくうえで、
自社が新規に出資して子会社を作ることもありますが、
他社の株式を買い取って子会社化(グループ会社化)
することもあります。
自前で新規に会社を設立し、
事業を育てていければよいのですが、
これには労力と時間がかかります。
一方で、
既に事業を展開している会社を
傘下に収めることができれば、
自前で育てる労力と時間を
少なくすることができます。
よく、
「時間をお金で買う」
と言われたりもします。
いろいろな考え方はあると思いますが、
このような他の企業の買収も
経営戦略のなかでは
1つの有効な手法であることは
間違いありません。
ソフトバンクのように
思い切った企業買収をきかっけに、
業績を急拡大したような事例も
ありますので。
但し、
このような買収が上手くいけばよいのですが、
実際には失敗事例の方が多いと言われます。
私の経験上も、
失敗事例の方が多い印象を受けます。
それほど、
他社という「異文化」を受け入れ、
自社グループの文化に融合していくことは、
難しいということです。
経営判断に失敗はつきものですので、
少額の投資であれば、
失敗は許容できる場合もあると思います。
一方で、
多額の投資を伴う企業買収であれば、
失敗は許されません。
そもそもの本業に悪影響を与え、
致命傷になる可能性があるからです。
そのため、
どんなに魅力的な案件であっても、
失敗が許されないような状況であればあるほど、
きちんと買収先の評価をしておくことが重要です。
この評価・調査をすることを、
「デューデリジェンス(DD)」
と言います。
買収先の調査・評価を
社内人材でできない場合には、
外部の専門家に依頼をすることもできます。
とくに、
多額投資になる場合には、
社内人材だけでは、
調査・評価が難しいこともあり、
「第三者の専門家による客観的評価」
が採用されることが多いです。
この「DD」ですが、
細かく分けると、
「財務DD」
「税務DD」
「事業DD」
「法務DD」
といった形で分けられることもあります。
つまり、
企業を評価する際に、
いろいろな視点で評価をする、
ということです。
社内人材によるDDをベースにしたうえで、
部分的に外部の専門家のDDを
活用することもあります。
たとえば、
法務DDだけは弁護士さんにお願いする、
財務DDだけは会計士さんにお願いする、
といった感じです。
最終的には、
このような調査をもとに、
総合的に検討したうえで、
売買金額を算定していくことになります。
株価算定です。
適切な株価(売買金額)を計算するには、
事業内容をきちんと評価できていないと難しいです。
そのため、
どの程度深掘りして「DD」するかは、
案件の規模やリスクに応じて判断しても良いと思いますが、
良い案件だからと言って、
何も調査をせずに「即決」することだけは
避けた方が良いでしょう。
経営者としては
「即決」
が重要な場面もあるかと思いますが、
同時に「致命傷」は
絶対に避けなければいけません。
致命傷にならない規模の即決であれば、
許容範囲かとは思います。
ただ、
異文化を受け入れるという行為は、
想定外のことが起こりがちですので、
他社買収の際には、
きちんと「評価する」意識は
忘れないでおいていただきたいと思います。
ちなみに、
専門家にDDを依頼する場合には、
・財務DD⇒公認会計士
・法務DD⇒弁護士
・税務DD⇒税理士
といった役割分担が一般的です。
総合事務所等は、
ワンストップで実施してくれるところも
あると思います。
一方で、
「事業DD」は
自社の人材を活用し、
社長自ら実施すべきだと思っています。
事業の状況、将来性、等を
評価する業務こそ
「経営者の仕事」
だからです。
本当の専門領域は
外部の専門家を上手く活用しつつ、
経営者として最善の経営判断を
できるように心がけてください。