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Vol.160 サーバント・リーダーシップとホールディングスに親和性はある?

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ホールディングス化の3大目的

ホールディングス化する会社が
その目的として必ずと言ってよいほど挙げる
項目があります。

それは、

—————————————–
①グループ経営機能の強化
②子会社への権限委譲による自主性向上
③意思決定の迅速化
—————————————–

の3つです。

なかには「節税のため」といった目的で
ホールディングス化する会社もあるかもしれませんが、
経営目的としては、
上記の3つが王道と言っても良いでしょう。

<参考>
Vol.13 ホールディングス化のメリットとデメリット(経営管理面)
Vol.72 ホールディングス化のメリット(一般論)

ホールディングカンパニーの存在意義

上記の3つの目的を
役割別にもう少し分けてみると、

①グループ経営機能の強化 ⇒ ホールディングカンパニー(親会社)
②権限委譲による自主性向上 ⇒ 事業子会社
③意思決定の迅速化 ⇒ 事業子会社

と分解できます。

 

ホールディングカンパニーである親会社は、
単独で事業を持つわけではありません。

ホールディングカンパニーの役割は
あくまで「グループ経営を実施すること」であり、
実事業を実施するのは、
各子会社の役割となります。

 

そう考えると、
親会社であるホールディングカンパニーが
存在する意義(使命)は主に、

———————————–
(A) 子会社の事業成長支援
(B) グループ全体の調整
———————————–

の2つに集約されるのではないでしょうか。

 

子会社がきちんと事業を実施し、
利益を上げてもらうことで、
親会社も存在することができるという意味では、
(A)は最低限の必要条件です。

 

さらに、
「グループの経営をする」
ということは、
グループ全体最適を目指す」
グループシナジーを生み出す」
ような経営をしていく、と言ってもよいでしょう。

これが(B)の役割です。

 

この(A)(B)両者を実践できてこそ、
ホールディングカンパニーの存在意義を
証明することができるのではないでしょうか。

グループ・サーバント・リーダーとしての親会社

前回の
(Q1)グループ経営に必要なサーバント・リーダーシップとは?
のなかで、
「親会社はグループ・サーバント・リーダーであるべき」
という内容をお伝えしました。

その内容を少し復習してみると
以下のような内容でした。

——————————————–
□モチベーション
組織上の資本関係に関わらず、
子会社に奉仕したいという欲求

□マインドセット
グループ全社が協力して
グループ目標を達成する環境で、
グループ全社がWin-Winになることを重視
(≒シナジー効果発揮を重視)

□影響力の根拠
子会社との信頼関係を築き、
子会社の自主性を尊重することで、
グループ組織全体を動かす

□コミュニケーション・スタイル
子会社の話を傾聴することが中心

□業務遂行能力
子会社へのコーチング・メンタリングから、
子会社と共に学び、
より良い仕事をする

□成長についての考え方
子会社のやる気を大切に考え、
子会社(社員)とグループ全体組織の
成長の調和を図る

□責任についての考え方
責任を明確にすることで、
失敗からも学ぶグループ環境を作る
——————————————–

 

これらの内容は、
ホールディングス化の3大目的である
①グループ経営機能の強化
②子会社への権限委譲による自主性向上
③意思決定の迅速化
といった目的と全く違和感なく
リンクするような気がしませんでしょうか?

また、
親会社であるホールディングカンパニーの
存在意義(役割・使命)である
(A)子会社の事業成長支援
(B)グループ全体の調整
の内容と一致する内容ばかりでは
ないでしょうか?

サーバント・リーダーとしてのホールディングス経営

「親会社はグループ・サーバント・リーダーであるべき」
とお伝えしました。

ただ実際には、
親会社が実業(本業)も営みながら、
子会社も管理するようなグループ経営の場合には、
親会社がサーバント・リーダーの役割を
完全に果たすのは難しい側面があります。

なぜなら、
親会社には存在意義として、
子会社管理・支援が主目的になりづらいからです。

あくまで、
親会社の主目的・使命は、
本業である実業になってしまうでしょう。

 

一方で、
ホールディングス経営の場合、
親会社であるホールディングカンパニーの存在意義は、
(A)子会社の事業成長支援
(B)グループ全体の調整
に尽きます。

これが本業なのです。

そう考えると、

————————————
ホールディングカンパニーの「本業」
=グループ・サーバント・リーダー
————————————

と言っても過言ではありません。

 

両者を比較すると、
グループ・サーバント・リーダーシップを発揮するにあたって、
どちらのグループ組織デザインが最適であるかは、
一目瞭然ではないでしょうか。

つまり、
グループ経営において、
サーバント・リーダーシップを発揮した経営を実践するには、
ホールディングス経営の方が良い、
と言えるでしょう。

 

ちなみに私のなかでは
このようなグループ経営モデルを
「サーバント・ホールディングス経営」
と勝手に呼ぶことにしました。

★★★★★★★
ホールディングス化によって
どのようなグループ経営を
目指していますか?
★★★★★★★

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