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【事例】橋本総業ホールディングス株式会社 & JKホールディングス株式会社

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※平成29年2月7日に橋本総業ホールディングス株式会社とJKホールディングス株式会社より適時開示されている「橋本総業ホールディングス株式会社とJKホールディングス株式会社の共同持株会社設立(株式移転)による経営統合に向けた検討開始に関する基本合意書締結のお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

共同持株会社設立による経営統合

開示概要

●橋本総業ホールディングス株式会社とJKホールディングス株式会社は、
共同株式移転の方法により共同持株会社を設立し経営統合を行うことに関して、
検討を開始することについての基本的な合意に達した。

●平成29年2月7日開催の両社取締役会において、
本経営統合に向けた基本合意書を締結することを決議・締結。

共同持株会社体制移行の背景と目的

<橋本総業ホールディングスの背景>
●橋本総業ホールディングスは、
「環境・設備商品の流通とサービスを通じて、快適な暮らしを実現する」
ことを基本理念として、
橋本総業株式会社を中核として子会社4社で企業グループを形成している。

●グループ各社は、取扱い商材や販売先の違いによる役割分担の下で、
パイプや継手などの管材類、トイレや浴室などの衛生陶器類のほか、
給湯機器、キッチン設備、空調、ポンプ等の卸売業を事業としている。

●明治23年の創業以来、現在に至るまで、
「設備のベストコーディネーター」
「流通としてのベストパートナー」
「会社としてのベストカンパニー」
という3つのベストを推進し、
株主・ 施主・工事業者・得意先・仕入先・社会・社員という
7つのステークホルダーに貢献できるよう日々企業努力を継続している。

<JKホールディングスの背景>
●JKホールディングスは、
「快適で豊かな住環境の創造」を企業理念として、
中核のジャパン建材株式会社をはじめとする
子会社51社、関連会社13社からなる企業グループを形成している。

●グループ各社は、
構造用合板や型枠用合板などの合板類、
床材や天井材などの合板二次製品、
石膏ボードや断熱材などの建材類、
キッチンや収納セットなどの住宅機器等、
建材・住宅設備機器を総合的に取扱う建材卸売業のほか、
合板製造・木材加工を手掛ける製造業、
卸売業同様に建材全般を取扱う建材小売業、
工事、物流や住宅ローン仲介など住宅業界に関連する様々な商品の販売やサービス
を事業としている。

●昭和12年の創業から今年で80年になるが、
この間一貫して、より良い住宅資材を、適正価格で、
顧客の要望される場所にお届けすることを目標に営業活動を展開するとともに、
顧客との共存共栄を図る仕組みづくりにも取り組んでいる。

<共同持株会社化の目的>
●住宅関連業界においては歴史的な低金利や政策的後押しもあって
新設住宅着工戸数が高めに推移するなど足元堅調であるが、
人口減少という構造要因から中長期的にはマーケット縮小が見込まれている。

●一方で、環境・省エネ、健康・快適といった、
日本の住宅に対する質的な要請は日々高まりを見せている。

●このような経営環境の変化を踏まえ、
今後の在り方を検討した結果、その強みが補完関係にあるだけでなく、
その経営方針、経営理念が相互に合致する両社の経営統合が最適と考え、
経営統合に向けた検討を開始することについて、
基本的な合意に達するに至った。

●本経営統合により、両社は、
従来の垣根を越えた業界のリーディング企業として、
先進的なビジネスモデルを構築するとともに
一層生産性の高い効率的な経営基盤を確立し、
すべての顧客に魅力あるサービスを提供し、
すべてのステークホルダーに貢献する企業となることを目指す。

●両社がそれぞれ主要事業とする
管材、水回り関連機材・設備機器卸売事業、木質系の建材卸売については、
それぞれ両社の営業上の独自性・独立性を尊重・維持し、
両社がこれまで培ってきたブランドは従来通り競合関係を維持し切磋琢磨していくことが、
全体の売上・利益を極大化することにつながるものと考えている。

●一方で、人材教育や業務の効率化施策の共通化、
仕入れの共同化等、両社事業のコラボレーションを積極的に推進し、
収益力・コスト競争力の強化を図る。

●さらに、共同持株会社体制の構築により、
両社共通の経営戦略の下、成長分野に両社の経営資源を機動的・効率的に、
かつシナジー効果の最大化に向けて配分することができるようになるため、
これまで以上に、業界発展のための前向きな投資が可能になり、
経営環境の変化への適応力が高まると考えている。

●共同持株会社は、組織のスリム化を推進する一方、
グループ企業を統括し、グループ企業価値の最大化を目指し、
中長期的な戦略の立案や経営資源の配分を行う。

両社は、事業運営上は独自性を保ちながら、
共同持株会社の下、人材交流・情報交換等を通じ
両社の運営上の仕組みの優れた点を相互に導入・活用することで、
グループ全体の発展に寄与する。

共同持株会社設立の移行方法

橋本総業ホールディングス及びJKホールディングスを株式移転完全子会社、
新たに設立する共同持株会社を株式移転完全親会社とする共同株式移転

株式移転スケジュール(予定)

①経営統合に関する基本合意書承認取締役会決議(両社):平成29年2月7日
②経営統合に関する基本合意書締結(両社):平成29年2月7日
③定時株主総会に関する基準日(両社):平成29年3月31日(予定)
④統合契約書及び株式移転計画承認取締役会(両社):平成29年5月上旬(予定)
⑤統合契約書締結及び株式移転計画作成(両社):平成29年5月上旬(予定)
⑥経営統合承認定時株主総会(両社):平成29年6月下旬(予定)
⑦東京証券取引所上場廃止日(両社):平成29年9月27日(予定)
⑧統合予定日(共同持株会社設立登記日):平成29年10月2日(予定)
⑨共同持株会社株式上場日:平成29年10月2日(予定)

 

Review

今回は
「橋本総業ホールディングス」
「JKホールディングス株式会社」
の共同持株会社設立の事例です。

これまで共同持株会社の設立については、
あまり事例として書いてきませんでしたが、
以前「橋本ホールディングス」が持株会社体制移行する際に、
事例として取り上げさせていただいたため、
その後の取り組みとして、今回も取り上げさせていただきました。

 

今回の事例における2社ですが、
両社ともすでに「ホールディングス」形態の経営を行っています。

そのため、「持株会社」のあり方については、
日々考えられている両社と言えるでしょう。

 

持株会社(ホールディングカンパニー)の位置づけは、
会社ごとに異なるものではありますので、
今回の両社が持株会社の機能を
全く同じものとして捉えているとは言い切れません。

但し、持株会社体制を経験したことある会社とそうでない会社との間では、
「持株会社とは?」という点における経験値に差があるものです。

その意味では、今回の2社は、
持株会社経営を実際に経験している会社同士の共同持株会社設立なので、
持株会社の良い点・悪い点、あるべき機能、等を擦り合わせて、
より良い形を目指すには良い状況と言えるのではないでしょうか。

 

最近では、

———————
同じ業界のライバル同士が組む
———————

という流れが増えてきました。

日本におけるマーケット縮小とともに、
業界の垣根もなく競争が激しくなるなかで、
生き残っていくためには、ライバル同士であっても、
競い合うより、組んで取り組む方が
メリットが大きい場合も当然あると思います。

 

おそらく、これまでの時代であれば、
競い合うことを選んでいたケースが多いのだと思いますが、
今は各社が生き残るために必死ということでしょう。

ライバル同士が組む、異業種同氏が組む、
といったような大きな流れは、
今後、より一層増えていくと思います。

 

そして、この流れの中では、
緩やかな業務提携ではなく、
資本提携、さらには経営統合といったような
より親密に組む形が増えていくと思います。

 

今回の事例も「親密な経営統合」の1つです。

全く異なる会社同士が、
急に合併といったような組織を1つにすることは、
現実的には容易ではないと思います。

そう考えると、
今回の事例のような「共同持株会社」という形は、
異なる企業同士の現実的な経営統合の1つの在り方と言えるでしょう。

 

今回の開示の中では、
「経営統合の基本方針」
として以下のような記載がありました。

—————————————————-
共同持株会社は、組織のスリム化を推進する一方、
グループ企業を統括し、グループ企業価値の最大化を目指し、
中長期的な戦略の立案や経営資源の配分を行います。
また、両社は、事業運営上は独自性を保ちながら、
共同持株会社の下、人材交流・情報交換等を通じ
両社の運営上の仕組みの優れた点を相互に導入・活用することで、
グループ全体の発展に寄与します。
—————————————————-

 

グループ経営において
実現できれば理想的なキーワードが
多く盛り込まれています。

それなりの規模の企業グループの企業文化が
混ざり合うことを考えると、
そう簡単なチャレンジではないと思いますが、
これから生き残っていくためには、
各社がこのようなチャレンジを躊躇わず実施していくことが
必要だということなのだと思います。

 

ちなみに、今回の開示のなかでは、
経営統合に向けて両社間で集中的に協議を行うために
「統合準備委員会」
といったものを設置する旨の記載もありましたが、
良い形で議論が進んでいくことを期待したいところです。

 

★★★★★★★
ライバル会社、異業種会社と
どのように付き合っていきますか?
★★★★★★★

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