前回までの復習
まずはじめに、
前回までのポイントを
簡単に復習したいと思います。
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<ポイント>
●組織再編の場合には「適格」と「非適格」がある
●どちらになるかは選択制ではなく、
要件を満たすかどうかで自動的に決まる
●「適格の場合=簿価」
●「非適格の場合=時価」
●「非適格」の組織再編の場合には、
譲渡損益が発生し、税金もかかってくる
●合併される側の会社の「繰越欠損金」を引き継ぎたければ、
「適格合併」である必要がある
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詳細は、
●「【グループ税制】企業組織再編における「適格」と「非適格」①」
●「【グループ税制】企業組織再編における「適格」と「非適格」②」
をご参照くださいませ。
グループ内の組織を変更する際に、
「合併」や「会社分割」といった手法を
用いることが多いのですが、
それが「適格」なのか、
それとも「非適格」なのか、
必ずどちらかに分類されることになります。
そこで今回は、
「『適格』『非適格』があるのはわかったけれど、
それでは『適格』になるためには、
どのような要件が必要なのか?」
という点についてお伝えさせていただきたいと思います。
今回も、複雑になりすぎないように
ざっくりとした解説とさせていただきます。
そのため、さらに詳細を知りたい場合には、
顧問税理士等の専門家へ追加確認を
していただければと思います。
大きく分けると
合併や会社分割といった組織再編は、
いろいろな会社との間で用いられることがあります。
法人税の世界では、
「適格」の組織再編とみなすかどうかは、
組織再編する会社の属性によって、
異なる要件を設けています。
その2つとは、
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(1)グループ「内」組織再編の場合
(2)グループ「外」組織再編の場合
———————–
です。
このどちらであるかによって、
「適格」になるための要件が異なりますので、
それぞれ簡単に要件を見ていきたいと思います。
(1)グループ内組織再編の場合
まず、グループ内企業同士で
組織再編を実施するケースです。
たとえば、
・子会社同士の合併
・親会社と子会社の合併
・親会社の事業の一部を子会社へ分社化(会社分割)
といったようなケースが挙げられます。
グループ経営をしていると、
グループ会社内で組織再編をすることは、
結構あると思います。
このような場合において、
「適格合併」や「適格分割」として扱われるための要件は、
持株比率によって異なった取り決めがされています。
できるだけ専門的な用語を使わないように、
とてもざっくりした表現でお伝えさせていただきます。
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①100%グループ会社間の組織再編の場合
・金銭等が交付されないこと
・今後も100%のグループ関係の継続が見込まれること
②50%超100%未満のグループ会社間の組織再編の場合
・金銭等が交付されないこと
・今後も50%超のグループ関係の継続が見込まれること
・事業の主要な資産や負債が移転していること
・80%以上の従業員が、継続して業務することが見込まれること
・再編される事業が、継続して営まれること
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持株比率によって少し異なりますが、
上記を端的に表現すると、
——————————
企業組織再編前後で、
実態があまり変わらないような場合
——————————
ということです。
組織再編前後で実態が同じなので、
帳簿価額もそのまま帳簿価額のままで移行でき、
繰越欠損金もそのまま活用できる、
ということですね。
(2)グループ外組織再編の場合
それでは、次に、
グループ会社ではない会社との間で、
合併や会社分割といった
組織再編を実施する場合について、
お伝えさせていただきます。
グループ会社同士でなくても、
事業提携が進み、合併をしたり、
事業を分割譲渡したりすることはあると思います。
そのような場合に、
「適格」の組織再編と扱われるためには、
先ほどの「グループ内組織再編」とは
異なる取り決めがあります。
一般的に
「共同事業要件」
と言われるものです。
通常は、
グループ会社ではない会社との組織再編の場合には、
「適格」の組織再編と認められないのですが、
この「共同事業要件」を満たす場合に限り、
「適格」の組織再編として認められます。
この「共同事業要件」の具体的な要件とは、
以下の通りです。
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・金銭等が交付されないこと
・合併や会社分割をする両者が相互に関連する事業であること
・合併や会社分割する事業の規模が同等(5倍以内)であること
・事業の主要な資産や負債が移転していること
・80%以上の従業員が、継続して業務することが見込まれること
・再編される事業が、継続して営まれること
・組織再編により交付された株式の継続保有が見込まれること
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当然ですが、
経営者としてすべてを覚える必要はありません。
ここでは、あくまでイメージだけでも
つかんでいただければと思います。
上記をざっくり表現すると、
——————————-
同規模の同業種の会社との間の
実態(合理性)のある組織再編であれば、
「適格」として扱われる
——————————-
ということです。
最後に留意点
上記に見たように
「適格」の組織再編と扱われるためには、
ケース別に具体的な要件がいくつかありました。
ただ、
「適格」の組織再編というのは、
あくまで「例外」の規定です。
組織再編前後で、
実態に大きな変更が無いような場合に、
実務上の配慮から、
・帳簿価額のまま引き継げる
・繰越欠損金を引き継げる
といったルールを
例外として規定したものと言えるでしょう。
そのため、
「この例外規定が、
税金逃れのためだけに意図的に行われる
合理性の無い組織再編に悪用されては良くない」
という趣旨で、
もう1つ上位概念のルールを法律上は設けています。
それが、
「包括的な否認規定」
と言われるものです。
つまり、
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仮に上記に挙げたような要件を満たしていたとしても、
全体として合理性が無い組織再編の場合には、
「適格」として認めません!
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という憲法のような規定です。
これは、
伝家の宝刀のような規定ですので、
規定としては存在していても
なかなか、この大原則が適用されるケースは
聞かれませんでした。
ただ、昨年、
この「伝家の宝刀」が適用された事例として、
業界でも有名になった
・ヤフー事件
・IBM事件
があります。
※詳細は「【知識】グループ内組織再編に「税」の逆風?」を参照くださいませ。
このような前例が出来たことは、
今後の組織再編には大きな影響があると思われます。
ただ、1つ言えることは、
「実態がある組織再編が否定されているわけではない」
ということです。
形式だけ整えて、
税金逃れを主目的にするような組織再編が
否定されているということです。
★★★★★★★
組織再編の目的は、
何ですか?
★★★★★★★