マーケティングの重要性は、
改めてここでお伝えする必要は無いと思います。
ただ、グループ経営の場合、
マーケティング活動において、
とくに意識をしていただきたいポイントがあります。
そこで、今回は、
「グループ経営にとって重要なマーケティング」
というテーマでお伝えさせていただきます。
まず、「マーケティング」というと、
とても幅広い概念ですし、
その定義にも様々なものがありますが、
どのようなことをイメージされるでしょうか?
ざっくりではありますが、
「市場調査」「顧客を知る」「集客」
といったようなイメージで
語られることが多いように思います。
これらはすべて
ベクトルが「顧客」に向いている考え方です。
一方で、
経営において重要なマーケティングとして、
もう1つの別のベクトルのマーケティングがあります。
これは、とくに「グループ経営」の場合は、
なおさらだと考えています。
この
「別のベクトルのマーケティング」
とはいったい何でしょうか?
それは、
「社員」を対象としたマーケティングです。
一般的には、
「インターナル・マーケティング」
「社内マーケティング」
といった表現が使われているようです。
あくまで個人的な考えですが、
重要性(優先順位)としては、
「社内マーケティング≧社外(顧客)マーケティング」
なのではないかと思っています。
さきほど、
社外マーケティングのイメージとして、
「市場調査」「顧客を知る」「集客」
といった点を挙げさせていただきました。
これらを社内マーケティングに置き換えてみると、
「社員調査」「社員を知る」「社員(の心)を集める」
といった感じで表現できます。
こう考えると、
「社内マーケティング≧社外(顧客)マーケティング」
ということは、
「社員≧顧客」
と表現できるかもしれません。
決して、
顧客が大切ではない、
と言うわけではありません。
お伝えしたいのは、
顧客の方を向くのと同じくらい、
社員の方を向くことが重要だということです。
これは、優先順位として、
顧客を第一と考えるのか、
社員を第一と考えるのか、
という難しい選択とも言えます。
ただ、永続企業を目指す場合には、
「社員≧顧客」
の考え方の方が、重要になるように思います。
言うなれば、
「社員の延長線上に顧客がいる」
ということです。
———————————————————-
自社のことを好きでない社員では、
生産性の高い仕事はできません。
自社の商品を好きでない社員は、
顧客へ商品を販売できません。
自社に誇りを持てない社員は、
会社を辞めてしまいます。
———————————————————-
裏を返せば、
社員が、自社のことが好きで、
社員が、自社の商品が好きで、
社員が、自社に誇りを持てるようであれば、
自ずと売上は上がり、顧客が増えるということです。
そう考えると、
「社内マーケティング≧社外(顧客)マーケティング」
はご理解いただけると思います。
ただ、この考え方は、
グループ経営にこそ、
より重要になると考えています。
なぜかというと、
1つの会社であれば、
比較的社員がまとまりやすいものですが、
複数会社化し、グループ企業が増えると、
社員の力・心が分散されやすいからです。
そのため、
グループ経営の場合は、
「グループ社内マーケティング≧社外(顧客)マーケティング」
という点を、
より強く意識していただきたい、
と思っています。
それでは、ここで言う
「グループ社内マーケティング」
とは、具体的に何を実施すればよいのでしょうか?
これには、いろいろな活動が考えられます。
1つというものではありません。
ただ、私の専門分野でいうと、
「グループ内業務フローの見える化」
「連結決算によるグループ経営数値の見える化」
「グループ組織デザインの見える化」
といった活動こそ、
「グループ社内マーケティング」
に該当すると思っています。
自社グループの全体像を把握し、
そのなかで「自分」がどこに位置し、
自分の業務が誰の役に立っているのか、
そして最終的には、
どのような経営数値に結びついているのか。
このようなことを
グループ社員各自が知れるようになるだけでも、
モチベーションは上がるはずです。
経営者としても、
グループ社員のことを改めて知る
良い機会になります。
その結果として、
経営者自身が、グループの全体像を把握し、
限られたグループ経営資源を適切に配分し、
グループ最適な決断ができるようになります。
ということで、
グループ経営者には、是非、
「グループ社内マーケティング」
の意識を持ち、
社内、社員にベクトルを向けた
マーケティングを実践していただきたいと思っています。
※参考記事:「マーケットイン」「プロダクトアウト」どちらが正解か?