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Vol.82 グループ顧客戦略②

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経営を実践するにあたって、
顧客の定義を明確にすることの大切さは、
改めてお伝えするまでもないと思います。

経営で重要な要素は、
「誰に」「何を」「どのように」
提供するかです。

このうちの「誰に」の部分が
「顧客」
ということになります。

やはり、経営の出発点は、
この「誰に」を明確にすることだと思います。

もっと言うと、
「何に困っている誰に」
です。

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ここが明確でないなかで、
残りの「何を」「どのように」を明確にするのは、
難しいからです。

経営者として、
自社におけるこの「顧客の定義」を
即答できない場合は注意した方がよいです。

経営者が即答できないということは、
社員は間違いなく即答できません。

顧客の顔が明確になっていない社員では、
アプローチすべき顧客に
アプローチができていない可能性もあります。

また、
自社のサービスで
顧客のどのような困りごとを
解決してあげられるのかを
説明できていない可能性が高いです。

このような組織では、
有効な営業戦略を
立案することも、実行することも、
難しいはずです。

もし「顧客の定義」が
曖昧であることに気づかれた場合には、
まずは社長自らが
「顧客の定義を言語化」
するところから始めてください。

組織内に浸透をさせていくには、
最低限、言語化されていることは、
不可欠な要素ですので。

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そして、
ここからが前回の続きです。

グループ経営者に1つ質問があります。
「グループ顧客の定義は明確になっていますか?」

1つの会社のときは、
顧客の定義が明確になっていても、
複数会社化し、グループ会社が増えるにつれて、
この「顧客の定義」が曖昧になっていくことが
よく起こりがちです。

グループ経営になっても、
「誰に」「何を」「どのように」
について明確にすることの重要性は
変わりません。

むしろ、
複数会社化することで
曖昧になりがちなことを考えると、
明確にすることの重要性は
より高くなると言ってもよいでしょう。

もし「グループ顧客の定義」が
曖昧になっているようであれば、
きちんと「言語化」しなおして、
グループ全体に浸透をさせてください。

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そして、
その際に注意していただきたい点が
2つあります。

1つは、
Vol.81 グループ顧客戦略①
でお伝えした通り、
グループ会社を増やしたとしても、
「グループ顧客の定義を広げないこと」
です。

そしてもう1つあります。
それは、
「グループ会社が顧客にならないようにすること」
です。

グループ会社が増えていくにつれて、
グループ内取引が増えていくことがよくあります。

グループ内取引の中には、
「グループ会社間で受注・発注をする」
という関係が生まれることもあります。

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こうなると、
「直接的な顧客=グループ会社」
と考えるグループ会社が出てきます。

確かに
直接的な顧客はグループ会社かもしれません。
これ自体は間違っていません。

但し、
注意していただきたいのは、
「真の顧客≠直接的な顧客=グループ会社」
ということです。

グループ内でいくら
売上・仕入を増やしたとしても、
グループ全体での売上や利益は増えません。

実態としては、
グループ内で商品等が移動しただけです。

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とはいっても、
実際には「直接的な顧客」に
どうしても目を奪われがちです。

グループ組織は自然と
「直接的な顧客=グループ会社」
の方を見て仕事をするようになります。

それを避けるためには、
グループの経営者が意識的に、
「真の顧客≠直接的な顧客=グループ会社」
であることを発信し続ける姿勢
が重要です。

グループ内取引は、
見かけ上は「売上」「仕入」であっても、
グループ全体でみると、
「グループ内取引=コスト」
でしかないことを組織内に浸透させてください。

社長として、
「グループ内取引からは利益は生まれない」
ということを、
繰り返し組織内に伝えてください。

すべてのグループ会社が、
「グループ外の真のグループ顧客」
の存在を日頃意識しながら
仕事をできるような仕組みを
是非構築してください。

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とはいっても、
このような意識を組織内に浸透するのは、
難しいと思われるかもしれません。

そのように思われる社長には、
「ホールディングス経営」
の仕組みを有効活用する手法を
お伝えしています。

この仕組みについては、
Vol.42ホールディングスでグループ顧客の見える化
でもお伝えしていますので、
是非そちらもご参照ください。

いずれにしましても、
グループ経営における顧客戦略のスタートは、
経営者自らが
「グループ顧客の定義を明確にすること」
であることを肝に銘じておいて
いただければと思います。

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