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Vol.220 連結決算に必要な人材とは?

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緊急事態

私個人の仕事のお話ですが、
お仕事の依頼が舞い込んでくるシチュエーションとして、
「はじめての連結決算をしないといけない状況」
「急に連結決算をする人が退職して大変な状況」
といった、いわゆる“緊急事態”のときというのが、
一番多いのが実情です。

理想的には、
「このような緊急事態に陥らないような体制を作る」
といったことを目的とした平時のときから業務依頼があればよいのですが、
実態としては、緊急事態になって初めて
お話が舞い込んでくる感じです。

 

このような緊急事態の場合には、
どうしても緊急事態用の対応にならざるを得ません。

残念ながら、理想的な連結管理体制の話は、
この緊急事態を乗り切った後の話になってしまいますが、
優先順位がそれぞれの状況で異なるので、
これはこれで仕方ないことと言えるでしょう。

 

緊急時を乗り切った後のフェーズ

緊急事態をいったん乗り越えると、
次のフェーズがやってきます。

「緊急事態はいったん乗り切ったけど、
 これから連結決算をどうしていくべきか?」

 

このような状況に直面した場合、
この後の流れとしては以下の2通りの会社に分かれていきます。

 

①外部専門家に作業を外注しつづけて
 連結決算がブラックボックス化してしまう会社

②会社が主体的に連結決算体制を構築し、
 必要に応じて外部専門家を活用する会社

 

経営判断としては様々かと思いますが、
一般的には②のような会社になれるように
目指していく経営者の方が多いのではないでしょうか?

 

当然ですが、専門分野の作業を
戦略的に外部専門家にアウトソーシングする、
という考え方もあるかとは思います。

ただ、上記の①の会社は、
戦略的に外部専門家にアウトソーシングしているというよりは、
どちらかというと、外部専門家の言いなりの状況に陥っている
という表現の方が正しい気がします。

作業がブラックボックス化してしまい、
外部専門家依存が続いて、コストがかかわるわりに、
社内にノウハウが残りづらい、という状況です。

 

会社が主体性を持ち、必要に応じて外部専門家を活用するので、
会社が受身的に外部専門家に活用されてしまうので、
その後の管理体制に雲泥の差が出てきます。

おそらく戦略的に外部専門家を活用するフェーズは、
上記の②のような会社になった段階で、次のステップとして存在する、
より高い次元のフェーズと言ってよいでしょう。

 

連結決算人材

それでは、どうしたら、
緊急事態を乗り越えた会社が、
次なるフェーズとして、
「会社が主体的に連結決算体制を構築し、
 必要に応じて外部専門家を活用する会社」
になっていけるのでしょうか?

 

やはり、ポイントは、
「連結決算人材」
ということになると思います。

きちんと連結決算をこなしていける人材を
適切に配置できるかどうかが、まずはスタートでしょう。

 

ここで多くの場合には、
「新規に連結決算経験のある人材を採用する」
という行動に移る傾向があります。

確かに、良い人材を採用できれば、
社内の連結決算体制構築にはプラスになると思いますが、
これだけでは十分であるとは言えません。

個人的には、経験者の採用という選択肢は、
それほど効果の高い解決策だとは感じていません。

 

というのも、

—————————————–
連結決算業務の「本質」を考えた場合に、
連結決算の知識や経験は、
それほど重要な要素とは思えない
—————————————–

からです。

私自身、外部専門家として、
連結決算の仕組み作りを専門に、
いろいろな会社をご支援してきたなかで感じた
率直な思いです。

 

経験のある人材を採用するのは、
それほど簡単なことではありません。

当たりはずれもありますし、
運よく能力的には高い人材を採用できても、
会社の風土にすぐに馴染んでもらえるかも未知数です。

 

このような未知の人材に頼るより、
もっと効果が高く、手っ取り早い方法があると思うのです。

 

連結決算体制構築にあたって、まずやるべきこと

連結決算体制を社内構築していくにあたって、
経験者の外部採用ではなく、もっと効果が高く手っ取り早い方法はというと、

———————————————–
今、社内にいる人材を活用すること
———————————————–

だと考えています。

私のこれまでの経験を通して、
この方法が一番効果的だと思っています。

 

その理由はシンプルです。

———————————————–
連結決算業務において、
連結決算の知識や経験がどうしても必要な部分は、
全体業務の中の1割程度であるため、
わざわざ、その1割に詳しい未知の人材に期待しすぎても、
根本的な解決にはならない
———————————————–

からです。

 

逆に考えると、
連結決算業務の9割は、
連結決算の知識や経験とは別次元の業務や能力で
構成されているということです。

 

そして、この9割部分を兼ね備えているのは、
間違いなく「今いる社内人材」だと思うのです。

この9割の部分さえきちんと押さえれば、
残りの1割部分は、極端に言えば、
外部の専門家に頼っても良いと思います。

 

ということで、
今回の内容をまとめますと、

———————————————-
連結決算の社内体制構築に必要な人材は、
外部から経験者を採用するのではなく、
今いる社内人材を教育・育成した方が効果的である
———————————————-

ということです。

 

ただ、
「そうは言っても・・・」
という疑問も感じられる方もいると思います。

そこで、今回の続き(補足)として、
・どのような社内人材が適任か
・どのように社内人材を活用すべきか
・外部専門家とはどのように付き合うべきか
といった点にについては、
次回に書いてみたいと思います。

★★★★★★★
連結決算に必要な人材は、
どこにいるでしょうか?
★★★★★★★

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