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Vol.166 なぜ連結決算上の課題が改善されないのか?

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自社の連結決算への不満

連結決算を実践している上場会社等で
自社の「連結決算」の状況に満足している経営者は
結構少ないのではないでしょうか?

連結決算の状況について
グループ経営者に聞いてみると、

「当社の連結決算業務は何をやっているのだろう?」
「なぜ連結決算にそんなに時間がかかるのだろう?」
「グループの課題が全く改善されない・・・」

といったような
いろいろな声が聞こえてくるものです。

 

担当者は忙しそうにしているのに、
担当者以外には、
何をやっているのかが見えづらい状況に陥りやすいのが、
多くの会社の「連結決算」の特徴のような気がします。

このようなブラックボックス化しやすい
連結決算業務ですが、
おそらく「何か」を変えなければ、
この状況は変わることはないと思います。

 

そこで今回は、
この「何か」について、
お伝えしてみたいと思います。

緊急な日常に追われている「連結決算」

連結決算の担当者は、
具体的にはどのようなことを実施し、
何に悩んでいるのでしょうか?

 

ランダムに挙げてみたいと思います。

●すぐに四半期決算が来てしまう
●子会社が指示通りに動いてくれない
●経営者からいろいろとグループ資料を求められる
●監査法人等の外部からの要望に対応する必要がある
●グループ会社に関連することが何でも問い合わせ窓口になる
●複雑な会計や税務の基準をキャッチアップする必要がある
●海外子会社のことがよくわからない(言語も含む)
●連結決算という業務を理解してくれる人が社内に少ない

 

これら以外にも
いろいろとあると思いますが、
要はこのようないろいろな感情と業務の中で、
常に「緊急な日常業務」に追われている、
と言えるでしょう。

 

このような「緊急な日常業務」のなかで、
クリエイティブな思考や業務改善的な思考は、
打ち消されていってしまいます。

とりあえず
今を無難にこなしていくことで
精一杯な状況なのです。

 

小さな業務ミス等くらいであれば、
改善していけると思いますが、
経営者が望むような経営課題は
残念ながら、
いつまで経っても改善されることはない、
と言ってもよいでしょう。

グループ経営と連結決算の課題を改善するための「何か」とは?

このように「緊急な日常業務」に
担当者が追われ続けている「連結決算」の世界ですが、
どうすれば、
経営者が望むグループ経営課題を改善するような
生産的・建設的な業務に変わるのでしょうか?

 

経営者としての、
「当社の連結決算業務は何をやっているのだろう?」
「なぜ連結決算にそんなに時間がかかるのだろう?」
「グループの課題が全く改善されない・・・」
と言った思いを
変えてくれる「何か」とは
何なのでしょうか?

 

それはずばり

————————–
経営者の積極的な関与
————————–

です。

これは断言できます。

 

連結決算に問題ある会社、
連結決算上の課題が改善しない会社の多くが、
圧倒的に「経営者の関与」が少ないのです。

 

なぜ連結決算業務において
「経営者の関与」が不可欠なのでしょうか?

それは、
連結決算上の課題として
残り続けているテーマのほとんどが、
●グループ全社横断的な課題
●基幹システムを変えなければ改善できないような課題
●他部署、多くの社員を巻き込む必要がある課題
だからです。

とくに、
多くの「人」を動かさなければいけないテーマは
とてもハードルが高いものです。

 

ただでさえ、
「緊急な日常業務」に追われているなかで、
このようなハードルの高い課題を
連結決算業務の担当者だけで抱え込んで、
かつ改善していくには、
あまりにも負荷が高いのです。

このような課題を解決していくには、
経営者の強いリーダーシップが不可欠と言えるでしょう。

グループ経営者に求められる「サーバント・リーダーシップ」

このような状況を耳にすると、
多くの経営者は、
「そうであるのなら、
そのような状況にあることを
きちんと報告してくれればよいのに・・・」
「状況を知っていれば、
経営者として積極的に関与し
対応を図っていたのに・・・」
と思われるかもしれません。

 

但し、
現場の担当者の立場からすると、
「今さら言ったら怒られるのでは・・・」
「どうせ伝えても連結決算のことは、わかってもらえない・・・」
「緊急性の高い日常業務で忙しいし・・・」
といった思いがあるものです。

 

結局、自然に任せていると、
現状の課題が経営トップまで上がってこないことの方が
普通だと考えた方が良いのです。

そのため、
グループ経営者としては、
このような現場の気持ちを理解したうえで、
連結決算やその担当者と接する姿勢が
求められるのではないか、
と思います。

 

つまり、
社長自身が、
「これまで社長としての積極的な関与が無くてごめん」
「一緒に解決していこう」
「困ったことがあったら、フォローするよ」
「連結決算のことを自分も勉強するよ」
といった思いをもって、
連結決算や現場担当者と
積極的に向き合うことが必要ということです。

 

まさに、

—————————————
サーバント・リーダーシップ
—————————————

の精神です。

このような経営トップの姿勢があれば、
自然と課題は経営トップまで上がってきますし、
現場担当者の生産的・建設的な業務改善の姿勢も
生まれてくるのではないかと思います。

★★★★★★★
経営者として、
積極的に「連結決算」に
関与していますか?
★★★★★★★

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