ホールディングス形態の場合だけではありませんが、
「会社を複数会社化することで節税メリットがある」
といったテーマをよく見かけます。

これはある一側面を見れば「その通り」と言えると思います。

税金計算のルールは
もともと1つ1つの会社ごとに計算することが
前提に決められています。

そのため、
交際費を経費にできる枠、
軽減税率の枠、
消費税の特例的な計算の水準、
といったルールも
各社ごとに判断されることになります。

大雑把にいうと、
1つの会社のときは枠が100ある場合に、
その会社を2つに分けると、
それぞれで枠が使えて総額で200の枠を使える
といったようなことも可能になります。

全く同じことを
1つの会社だけでなく、
2つの会社に分けて実施した場合、
税務上の特典だけが2倍になるということです。

Vol.14(2)

法律が当初想定していた使われ方では
ないかもしれませんが、
このような法律の仕組みなので、
とくに違法なことではありません。

また、最近は連結納税の制度も浸透してきたので、
上手く活用すれば、
連結グループで効果がでる場合もあります。

但し、1つ言えることは、
「節税を主目的にした複数会社化」の場合、
当初想定していたメリットよりも
デメリットの方が大きくなることが多い、
ということです。

戦略的経営において
節税というのは重要なテーマです。

但し、経営者が夢見ている
「税金を減らせるというすごい技」というものは、
現実的にはほとんど無いと考えた方がよいです。

多くの節税のお話は、
たんに税金を納める時期を遅らせる効果がある
「納税時期の変更」のケースが多いのです。

確かに、税金の絶対額を恒久的に
減らせるケースが無いわけではありませんが、
このような節税のケースはどちらかという稀です。

結局、
「利益が出たらそれに応じた税金を支払う」
という大きなルールは変えられません。

永続している企業は、
どこかでこのことに気づき、
税金を減らすのではなく、
利益を上げることの方にフォーカス
していくことになります。

Vol.14

世の中には「節税」というキーワードが
一人歩きしているケースが、
とても多くあります。

会社の状況によって、
節税できるかどうかや、
その節税効果は全く異なります。

また、「経営を良くする」という視点が抜けたまま
節税だけが議論されることもよくあります。

このようななかで、
経営者の皆さまには
「節税」には2種類あることを
是非意識していただきたいと思います。

つまり、
①税金を繰り延べる
②税金の絶対額を恒久的に減らせる
の2つです。

成長して利益が出ている会社、
永続していく会社が
フォーカスする節税は②の方です。

なぜなら、利益が拡大していくので
①に労力をかけることはムダだと気づくからです。

成長しない会社、利益が出ていない会社は
必要以上に①にこだわります。
かける労力のわりに、効果はほとんどなく、
逆に経営に悪影響を及ぼしているケースが多くあります。

議論を少し複数会社化に戻したいと思います。

複数会社化することで、
1つの側面をみると、
節税メリットは確かに存在します。

但し、1つの会社であっても
予定通り利益をあげ、予定通り節税するのは
とても高度なスキルとなります。

ましてや
複数会社化して、複数の会社の
利益と税金をコントロールするのは、
想像以上に難しいものです。

このような状況で
安易に節税を主目的に複数会社化することは、
複数会社化によるデメリットに
負けてしまう可能性の方が高いため、
私はお勧めしていません。

Vol.14(3)

一方で、
経営管理上のニーズの結果として、
複数会社化を望むのであれば、
応援したい気持ちでいっぱいです。

また、経営管理の1つの戦略として
グループ税金戦略のノウハウを
お伝えしていきたいと思います。

そして、このときに重要な役割を担う機能があります。
それが「ホールディングカンパニー」です。

グループとしての税金戦略を
グループの頭脳であるホールディングカンパニーが
考え、実行していくことが重要になるのです。

ホールディングス化は、
複雑化するグループの税金戦略を
コントロールする重要な役割も担える、
戦略的な連結グループ経営につながる
といえます。

関連記事

Vol.13 ホールディングス化のメリットとデメリット(経営管理面)
Vol.15 ホールディングス化のメリットとデメリット(まとめ)
Vol.72 ホールディングス化のメリット(一般論)
Vol.73 ホールディングス化のデメリット(一般論)