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【雑感】専門家の使い分け

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先日、
「専門家を探されている企業があるので、
お話を聞いてあげてくれませんか?」
という話が舞い込んできました。

その紹介者は、
専門家を探されている企業のニーズを
具体的に把握できていないとのことで、
私も一緒にお話を伺いに行きました。

 

そこで、
その企業のお話をお聞きしてみると、
確かに国際税務が絡む複雑な内容でした。

それも、
日本の税制だけでなく、
インドや中国の税制まだ熟知していなければ、
対応できないという案件で、
さすがに私も受けきれない内容でした。

その企業が望まれている専門家を
端的に表現すると、
「インドの税制もわかって、
中国の税制もわかって、
日本の税制もわかって、
かつレベルの高い専門家」
といった感じでした。

ただ、そのような専門家がいれば理想的ですが、
なかなかそのような専門家がいないことも事実です。

 

今回のケースは
かなり極端なケースのように感じましたが、
同様な要望はときどき受けることがあります。

ただ、
残念ながら私自身が対応できないばかりか、
知り合いで対応できる専門家を紹介できないことも多いです。

力になってあげられないことに
残念な思いを感じる一方で、

「すべてに精通している完璧な専門家は存在しない」
「仮にそのような専門家が存在したとしても、
  運よく知り合える確率は極めて低い」
「そのような専門家に知り合えたとしても、
  報酬額が折り合うかどうか、
  人間性や性格が合うかどうかもわからない」

といった思いも同時に感じてしまいます。

 

私もお付き合いしているクライアントは、
規模が大きくなればなるほど、
自分がサポートできる範囲は限られてきます。

自分ができる領域が狭くならないように
努力はし続けていますが、やはり限界があります。

自分の限界を超えてまで
無理にサポートをしようとすると、
クライアントにとっては逆効果になりかねません。

 

企業側の立場で考えると、
確かに何でも相談でき、解決してくれる
スーパー専門家を望む気持ちは理解できます。

一方で、
すべてに対応できる
スーパー専門家がいないことも
現実だと思います。

そのため、
成長していく企業の場合には、
そのようなスーパー専門家を探すのではなく、
「専門家を使い分ける」
という発想の方が重要な気がします。

 

成長していく企業には、
成長とともに問題・課題も
様々かつ幅広いものとなっていくものです。

当初は、何でも相談できる専門家が
サポートしてくれていたとしても、
成長している会社の場合には、
いつまでも1人(1社)が対応しきれるものではありません。

成長のステージによって
必要とされる専門知識・経験は変わってきますので、
自ずとお付き合いする専門家のレベルも変わっていきます。

 

また、同時に
1人(1社)が対応できる専門領域も
限られていくものです。

成長とともに
直面する課題の専門性が深まりますので。

企業が成長するということは、
そういうことなのだと思います。

「良い専門家が見つからない」

今現在、
そのような悩みがある場合には、
もしかしたら、
実在しないスーパー専門家を
探している可能性があり得ます。

 

このような悩みをお持ちの場合には、
「専門家を使い分ける」
という思考に変えていただくと
良いと思います。

専門家を使い分けることで、
もしかしたら、
報酬額(経費)が増えてしまうかもしれません。

ただ、これはこれで現実として
受け入れていただくしかありません。

支払う報酬以上に、
得られる効果の方が大きいのであれば、
それはそれで良し、
と考えていただきたいと思います。

 

実在するかどうかわからない
スーパー専門家を追い求め続けているうちに、
問題が悪化していくのであれば、
早く手を打った方が得策です。

成長していく企業は、
「専門家を使い分けるステージ」
に必ず直面します。

要は、
「専門家を使い分けるだけの企業に成長した」
だけのことですので。

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