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今週の「減らす」決断(2015年10月5日~10月9日)

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平成27年10月5日~10月9日の適時開示情報をもとに、
「子会社を減らす」決断をした事例をご紹介いたします。

はじめに

今週は3件の事例をご紹介させていただきます。
「子会社を減らす」という決断は勇気がいるものですが、
経営者として重要な仕事の1つです。

是非、各事例における経営者の決断から
学べる部分を学ばせていただきましょう。

事例1)株式会社シーエスロジネット

●平成27年10月9日において、
書面による取締役会決議により、
完全子会社である株式会社CSMEを
吸収合併することを決定。

●CSMEは、平成27年6月1日に
セントレードM.E.株式会社の会社分割により
新設設立された会社であり、
その全株式を取得し、子会社化している。

●CSMEの運営管理のため、子会社化後、
CSMEの営業体制、物流を中心とした
業務体制等を精査した。

●シーエスロジネットの主力事業である
音楽映像、ゲーム等のパッケージソフ トの卸売事業と、
CSMEの主力事業である
記録メディア、音響映像関連機器、通信等デジタル機器等の
製造輸入販売事業の各事業において
共通した営業、物流、管理等の業務の一本化をすることで、
営業力強化と、コスト削減効果が期待できると判断。

●CSMEを早期に吸収合併することで、
経営資源の集中を図ることが、
グループ収益力をより高めることにつながると判断。

事例2)ヒューマンホールディングス株式会社

●完全子会社である
ヒューマンライフケア株式会社(ヒューマンライフケア)
および株式会社みつば(みつば)は、
平成27年10 月9日開催の両社取締役会において、
平成28年4月1日をもって、
ヒューマンライフケアの保育事業会社分割(吸収分割)の方法により、
みつば承継させることに関し決議した。

●グループでは、少子高齢化や女性の社会進出に伴い、
喫緊の課題となっている待機児童問題の解消に寄与するため、
子どもの保育・教育に関して、
今後注力すべき事業のひとつと位置づけている。

● 特に保育施設の不足が深刻な首都圏においては、
幼児教育や保育等の質・量の拡充を図るべく、
これまでヒューマンライフケアにおいて、
「ヒューマンアカデミー保育園」の名称で施設の開設を進めてきた。

●現在、ダンスや英語、知育教育など、
年齢、能力、発育度に合わせた特色のあるカリキュラムで、
認可・認証を含む6園の保育園と病院内の保育ルームを運営

●さらに、保育事業の拡大を図るため、平成27年3月に、
保育事業を運営するみつばをグループ会社化した。

●みつばは、「スターチャイルド」の名称で、
子どもたちの自立と挑戦を支援し、
個性を尊重する保育環境の構築・展開に工夫を凝らし、
保育士の研修や保育研究にも力を入れ、
現在、9園の認可保育園を運営している。

●今後の事業環境の変化や、多様化する顧客ニーズを踏まえ、
より一層の成長を実現するには、
これまで両社が培ってきたノウハウの融合による
グループ経営資源の集約化が、
最良の策と考え、両社の保育事業を統合することとした。

●これにより、重複業務の統合を進めることで、
より効率的な管理、運営を図るとともに、
グループの教育事業で提供できる幼児向け教育商品・ノウハウや、
保育士養成機能も組み合わせて、
一層付加価値 の高いサービスの提供に努め、
保育事業の強化・拡大を加速させていく。

●ヒューマンライフケアは、
本事業承継により介護領域に特化し、
これまで以上に専門性を高めて顧客ニーズに対応していく。

事例3)株式会社三光マーケティングフーズ

●平成27年10月8日付の取締役会において、
平成27年12月25日を効力発生日として、
完全子会社の三光FCシステムズを吸収合併することを決議。

●三光FCシステムズは、
同社で展開している業態の
フランチャイズ加盟店の開発及び管理を行っている。

●事業再編の一つとして、
事業を親会社で一体運営することにより、
グル―プの経営資源の集中による
経営の効率化及び機動性の向上などの成果を
さらに今後の持続的成長に活かす。

レビュー

今週の事例はいかがでしたでしょうか?

今週ご紹介した事例の共通点は、
「グループ経営資源の集中」
という点です。

毎週、事例となる会社を
開示されている情報からピックアップしていますが、
今週探すことができた事例は
上記の3件くらいでした。

そのすべてが
「経営資源の集中を目的とした『減らす』決断」
に関連するものでした。

組織再編関係の事例を探すと、
圧倒的に「増やす」事例の方が多いものです。

他社株式を取得したり、
子会社を新規に設立したり。

とくに最近は堅調な景気のもと
事業拡大のための新規投資が拡大しているため、
「減らす」よりは「増やす」方が
圧倒的に多い状況です。

但し、
今回の事例1)や事例2)のように
いったん「増やす」決断をした後に、
わりとすぐに「減らす」決断をする、
といった例もあります。

一般的には、
「減らす」ことより「増やす」ことの方が
抵抗が少なく、容易です。

だからといって、
拡大することだけ意識していては、
どこかでバランスが崩れてしまいます。

「増やす」ことを得意としている経営者は
一般的には多いのですが、
逆に「減らす」ことを得意としている経営者は
それほど多くないと思います。

ただ、経営者としてはやはり、
「増やす」と同時に「減らす」ことも意識して、
両者をバランスよく組み合わせていくことが
大切なように思います。

事業継続のためには、
常に進化して
成長していくことが求められますので、
どうしても「増やす」ことを優先することは当然です。

決して「増やす」ことが悪ではありません。

ただ一方で、
もし「増やす」決断をした後は、
一度立ち止まってみて、
「減らすものがないか」
ということも考えてみていただきたいと思います。

イメージとしては、
「1つ増やしたら、1つ減らす」
くらいの感じで
ちょうど良いような気がします。

1つ増やして、1つ減らしたからといって
プラスマイナス0になるわけではありません。

良い部分を1つ増やして、
悪い部分を1つ減らす、
ということです。

トータルで見たときの効果は、
「(+1)-(▲1)=+2」
となる、ということです。

つまり、
「減らす=マイナスなこと」
ではありません。

経営者は「増やす」ことの方が
好きだと思いますが、
減らすことで逆にプラスにできることがないか、
是非、意識してみていただきたいと思います。

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