はじめに

株式上場を考えるようになると、
関連する専門機関が増えてきます。

そのなかでも、
とても重要なのが「監査法人」選びです。

上場をするためには、
監査法人の監査を受けることが義務になります。

監査法人との付き合いは、
上場後も続いていくものなので、
この選択を間違うと、
長く苦しんでいくことになります。

たまに
「どこの監査法人がいいですか?」
といった質問を受けます。

実は、この質問に回答するのは
とても難しいのです。

厳しい監査?甘い監査?

監査法人は外部の目で、
会社の財務諸表が正しいかどうかの
チェックをする立場にあります。

税務調査とは目的は違いますが、
少し近いと感じるのは、
会社から見ると「やっかいな存在」であることです。

厳しく監査をされるということは、
会社側にとっても、かなり疲れるものです。

本音としては、
できれば厳しい追及は避けたいところです。

かといって、
甘い監査をしてくれる監査法人が良い、
というわけでは決してありません。

甘い監査は、
長い目で見ると会社を不幸にすると思っています。

監査が甘いことで、
いろいろと大問題になり、
上場廃止になっていった会社も多くあります。

意識ギャップ

さらに悩ましいのは、
監査法人で良し悪しが決まるケース以上に、
「担当者が誰か?」
で良し悪しが決まるケースが多いことです。

私も10年くらい前までは、
監査法人で働き、
上場会社の外部監査や
株式上場の支援等を実施していました。

その後は
コンサルタントとして、
企業側のサポートをしています。

監査を受ける側の企業と
監査をする側の監査法人の間には、
大きな意識ギャップがあることを身をもって感じています。

この意識ギャップがどれだけ小さいかが、
とても重要なポイントになります。

監査法人の担当者の多くは、
この意識ギャップに気づくことができません。
なぜならば、
企業側で働いた経験を持っていないからです。

一方で、
良い担当者は、
監査法人側のスタンスを崩さない範囲で、
企業側の思いを汲み取ってくれます。

つまり、
良い担当者は、
監査法人側と企業側の意識ギャップを
できるだけ小さく出来る能力を持っています。

結局は?

結局、
「どこの監査法人がよいか?」
という質問にあまり意味がなく、
あえて答えるとしたら、
「担当者次第」
という結論になってしまいます。

但し、
監査法人を選ぶことができても、
担当者を選択する権利は
基本的には企業側にはありません。

さらに、
誰が良い担当者であるかは、
実際に担当してもらわなければ、
知る由もありません。

企業にとっては悩ましいところです。

以上のような状況を踏まえた場合に
結局、どのように監査法人選びを
すればよいのでしょうか?

私が言えることとしては、
「信頼できる会計士や会社からの紹介」
が最も良い気がします。

私も頼まれて
知っている監査法人を
紹介することがありますが、
「担当者は●●さんにしてほしい」
という注文をしてみます。

会社にとっては大切な決断なので、
やはり私自身が信頼している会計士でなければ、
紹介がしづらいものです。

中堅監査法人という道

もし監査法人のステータス(規模)に
こだわらないのであれば、
中堅監査法人くらいの方が融通が利いて
良いような気がします。

規模でいうと100名~300名程度の
監査法人規模でしょうか。

大手監査法人の場合は、
規模だけが大きくなってしまい、
あらゆることがガチガチで、
なかなか企業の個別要望は聞いてもえません。

一方で、
中堅監査法人くらいの方が、
心の通ったやりとりができる確率が高いはずです。

ビジネススキル、会計スキル面で
中堅監査法人が大手監査法人より劣る、
ということは基本的ありません。

どちらかというと
中堅監査法人の方が
スキルを磨いているケースの方が
多い気がします。

私自身が中堅監査法人で働いていたこともあり、
少し私の偏見が入っているかもしれません。

但し、
これまで多くの大手監査法人の会計士と会って、
仕事もしてきましたが、
いろいろな意味で「優秀だな」と感じる人は、
ほんとにごくわずかでした。

一方で、中堅監査法人の方が
仕事にプライドをもっていますし、
勉強熱心で真面目な方が多く、
血の通った仕事ができる印象が強いです。

最後に

今回は少し私の偏見が
多く入った内容となってしまいましたが、
監査法人選びにとって重要なのは、
「誰が自社を担当してくれるのか?」
という点であることは間違いありません。

監査報酬の安さでも、
監査法人の規模、ネームバリューでもありません。

監査法人を選ぶ機会がある場合には、
「どのような方が担当してくれるのでしょうか?」
という質問を是非投げかけてみてください。

決して、安さやネームバリューを
決定要因にはしないでいただきたいと思います。