グループ経営を見える化するためには、
グループベースで業務フローを作成することが
その第一歩であることは、
前回お伝えさせていただきました。

そして、
このような業務フロー作成が
形骸化しないために意識すべきポイントとして、
①目的をはっきりすること
②活用することを意識して取り組むこと
の2点を、お伝えさせていただきました。

今回はこのうち
「①目的をはっきりすること」
について、
もう少し触れてみたいと思います。

Vol.35(1)

 

上場会社で実践しているJ-SOXや
ISO取得といった場面で、
業務フローが作成されることがあります。

J-SOX対応やISO取得については、
おそらく、
「やらないよりはやった方が良い」
という点は、
ある程度共通認識かと思います。

取り組むことでのメリットは
必ずあるはずです。

但し、
取組みの本音としては、
「制度対応をしないといけないから」
「ビジネス上要求されるから」
といった場合が多いのも事実です。

このような本音であっても、
結果的に経営に有効な仕組みが
出来上がるのであれば、
問題はないと思っています。

J-SOXやISOの理念や
仕組みの考え方自体は論理的ですので、
きちんと機能すれば、
必ずメリットがあるはずです。

Vol.15

但し、
実際の取組み現場では、
このようなJ-SOXやISOといった取組みが
形骸化している事例が少なくありません。

とくに、いったん制度対応した後の
継続・維持となったステージになると、
社員も仕組みに慣れてきますし、
形骸化する状況が顕著になってきます。

仮に形骸化していても、
取組みをやらないよりは、
取組みを実施した方がマシなのかもしれません。

それでも、
貴重な経営資源を、
この取組みに費やすのであれば、
やはり経営者としては、
実効性のある仕組みにしたいところです。

経営者のこのような小さなこだわりの差が
長い目で見ると、
企業間で大きな差となって表れてきますので。

そのために重要になるのが、
取組みにあたっての「入口」です。
つまり、取組み目的や動機です。

Vol.58(1)

たとえば、
「やらないよりはやった方が良い」
といった程度の動機では、
私は弱すぎると思っています。

まだまだ「消極的」過ぎるということです。

大切な経営資源(人・お金)を活用して、
取り組むことになります。

そうであるならば、
「早くやりたくて、やりたくて仕方ない」
「やらなければ、もったいなさ過ぎる」
というレベルの動機づけが必要だと思います。

それも、
経営トップが白けているようでは、
形骸化することが目に見えています。

また、
経営トップだけが熱意を持っていても、
空回りするだけです。

そのため、
まずは経営トップが
「なぜ業務フローを作成する必要があるのか」
について、
強い思い(意志)を持つ必要があります。

そのうえで、
その強い思いを現場にも伝え、
「なぜ業務フローを作成する必要があるのか」
について、
現場レベルでも納得できるようにすることです。

当初の入口として、
ここの前提が整っていなければ、
形骸化の道へと
進んでいく可能性が高くなります。

とくに
現場の理解があることは必須条件
と言ってよいでしょう。

Vol.18(2)

結局、
日々動いてくれるのは
現場の各社員です。

現場の社員が「魂」をもって
取り組んでもらわなければ話になりません。

そのためには、
現場の社員にとってのメリットを
きちんと整理し伝えてあげ、
「自分事」
にしてもらうことが不可欠です。

そして、
この「入口」の部分を考えた場合、
J-SOXやISOといった制度では、
「自分事」に感じてもらうのが
少し難しいように思います。

社長自身もそうかもしれませんし、
現場の各社員にとっても
そうかもしれません。

結局は、
「法制度対応」
ということが主目的になりがちだからです。

きちんと法制度で要求される
一定の基準を満たさなければ、
ゴールと言えないからです。

主目的が「法制度対応」になってしまうこと。
これがJ-SOXやISOが
形骸化してしまう主要因といえるでしょう。

Vol.27(1)

 

ということで、
経営者としては、
「法制度対応」という枠組みではなく、
独自の目的と思いのもと
「グループ経営の見える化のための業務フロー作成」
に取り組んでいただきたいと思います。

本日はこの辺で終わらせていただきますが、
次回は、業務フロー作成にあたっての
もう1つのポイント
「②活用することを意識して取り組むこと」
について少し触れさせていただきます。