グループ経営者として
適切な経営判断をしていくうえで、
「グループ経営資源の現状把握」
が大切である旨を、
前回お伝えさせていただきました。
(参照:Vol.107 グループ経営資源を見える化できていますか?

正確な現状把握無くして、
適切な経営判断はできないということです。

そこで、
今回から数回に分けて、
もう少し具体的に、
このループ経営資源」について
確認をしてみたいと思います。

まず最初に取り上げたい経営資源は、
「顧客との関係」
です。

商売をしていくうえで、
もっとも大切なものの1つが
「顧客」
になると思います。

この「顧客」との「関係性」こそ、
目には少し見えづらいものではありますが、
収益獲得の直接的な源泉であり、
重要な経営資源といえるでしょう。

Vol.81(4)

余談ではありますが、
国際的な会計基準(IFRS)を
採用している会社では、
この「顧客との関係」を、
会計上の資産として計上している会社もあるくらいです。

会計の話になると複雑化していくので、
今回は参考程度にとどめておきたいと思いますが、
会計上でも資産計上されるくらい
「顧客との関係」
は、重要な経営資源ということです。

それでは、
具体的にこの「顧客との関係」を
どのように見える化すればよいのでしょうか?

いろいろな考え方はあると思います。

ただ、
オーソドックスに考えると、
まず大切なのは、
「顧客名簿化」
になるでしょう。

つまり、
「顧客との関係を見える化したもの=顧客名簿」
ということです。

Vol.43(2)

もしかしたら、
「顧客名簿はどこの会社でも作られているよ!」
と思われるかもしれませんが、
これが意外と作成されていません。

また、
顧客名簿が作成されていたとしても、
情報が不十分であったり、
社内共有化(社内データベース化)されておらず、
社内の経営資源と言いづらい状況の会社も
実は多いです。

大切だとわかっていても、
整備が進まないもの。
これが「顧客名簿」の不思議なところです。

とくに
小さな会社や中小企業では、
会社として顧客情報を管理できていない会社は、
かなり多いと思います。

つまり、
営業マン個人としては、
なんらかの形で顧客情報を管理していても、
それが組織ノウハウ化されていない、
という状況です。

これでは、
せっかくの経営資源が
個人所有物になってしまい、
組織としての経営資源とは言い難い状況です。

このような状況を放置すると、
・担当者の退職とともに顧客との関係が切れる
・担当者の変更とともに顧客との関係が薄まる
・同じ顧客へ複数担当者が同様なアプローチをする
・担当者の能力によって顧客との関係が変わる
・各担当者の営業活動状況がつかめない
といったような弊害が生じてきます。

Vol.7(2)

そのため、
経営者として、まず実施すべきは、
「組織としての顧客名簿の整備」
です。

「顧客との関係」という
とても重要な経営資源を、
個人任せにせず、
会社として管理できるようにしてください。

そのうえで、社内に、
「顧客との関係=会社の経営資源」
という認識を浸透させていく
必要があります。

但し、
この作業は容易ではないでしょう。

以下のようなイメージで、
地道に作業を進めていくしかありません。

<作業イメージ>
STEP1) 会社として正式な顧客名簿フォームを作成する(環境整備)
STEP2) 全社員に顧客名簿を記入してもらう(見える化)
STEP3) 各自の顧客情報を名寄せする(一元管理)
STEP4) 顧客情報を充実していく(資産価値のUP)
STEP5) 顧客情報をもとにした経営戦略立案(経営資源の活用)

Vol.67(1)

大変な作業だとは思いますが、
最も重要な経営資源であるからこそ、
面倒くさがらずに実施していただきたいところです。

このような面倒な作業を
きちんと実施していく会社が生き残っていけます。

なぜなら、
この顧客名簿は、
必ず売上として還元されてくる
確実な経営資源だからです。

 

そして、
最後にグループ経営の場合についての
考え方もお伝えさせていただきます。

グループ経営の場合は、
まず上記のSTEP1) において、
顧客名簿の「グループ統一フォーマット」
作成することがベストです。

また、
上記のSTEP3) においては、
グループ全体での名寄せをしていくことが
重要な視点です。

Vol.38(1)

1つの会社であっても容易ではないことを、
グループベースで実施するのは、
かなり大変なはずです。

それでも、
やるだけの価値が必ずあります。

グループ顧客名簿をきちんと作成し、
更新していく仕組みを構築できれば、
グループ売上高は飛躍的に伸びていくでしょう。

グループ顧客名簿を通じて、
グループ顧客が見える化できれば、
グループ経営戦略・営業戦略が明確になるはずです。

グループ顧客名簿は、
グループシナジーを生み出し、
他社との大きな差別化を実現してくれます。

「グループ顧客名簿管理の仕組みづくり」
グループ経営者としては、
なんとしてでもやり遂げていただきたい仕事です。