記事一覧

Vol.103 地域別グループ会社と連結決算管理

Pocket

地域別にグループ会社化している場合の
連結決算の管理体制について、
今回は確認をしてみたいと思います。

まず、
「地域別にグループ会社化する場合」
とはどのような場合になるのでしょうか?

ありそうで、意外と無いのが、
この地域別グループ会社です。

そのなかで、
一般的に考えられる例としては、
①地場の有力企業を傘下に収める場合
②海外展開をする場合
の2つが挙げられます。

このうち②については、
少し展開が広がったときの切り口なので、
別の機会に触れたいと思います。

まずは、
国内における展開として①の例について
今回はお伝えしたいと思います。

では、
この①のケースを考える場合ですが、
どのような会社が当てはまるのでしょうか?

おそらく、
スーパーやドラッグストア、
といった小売業のケースが多いのではないか、
と推測します。

他の業種の場合は、
あえて地域別で会社を分ける、
といった発想はあまり無いからです。

小売業の場合には、
もともと地場の有力なお店を買収して、
その基盤を活用して地域展開していく、
といった手法が見受けられます。

Vol.20(1)

このような場合、
法人格は別にしたまま子会社化し、
グループ会社として
展開していくような事例がよくあります。

ただ、
地場の会社を子会社化して、
店舗名やブランドは統一化したとしても、
オペレーション現場は変えず、
従来通りといったケースも見られます。

つまり、
従来の現場のやり方を維持させる形で、
業務提携的な感じで取り組むような
イメージです。

子会社化したからといって、
いきなりドラスティックに親会社のやり方を
おしつけても上手くいかない場合もあり、
考え方としては理解できます。

但し、
従来のやり方をいつまでも許していると、
グループ経営という意味では、
管理不十分です。

カバーする地域が増えて規模が拡大しただけで、
グループシナジーも生まれづらいですし、
ただの複数会社経営の域を脱していません。

Vol.11

このように地場の会社を
子会社化するようなケースであっても、
やはりグループ経営のメリットを
追求していく姿勢は不可欠です。

それでは、
どのようなグループ経営管理を
実践していくべきでしょうか?

たとえば、
店舗経営を前提にすると、
「店舗管理の標準化・一元管理」
が目指すべき形でしょう。

地場の会社で行われていた
従来のやり方について、
すべてを否定する必要はありません。

但し、
グループ経営者としては、
いくつものスタンダードがあっても、
管理しきれません。

やはり、
すべてのグループ会社を統一の管理基準で
管理できる仕組みを構築した方が
メリットが多いはずです。

Vol.40(5)

店舗経営を前提とすると、
管理単位はグループ会社別というよりは、
「店舗別」
がベストだと思います。

たとえば、
現場管理という意味では、
・店舗別の来店数
・店舗別の客単価
といったあらゆる指標を持っているはずです。

現場の管理指標については、
グループ全社内で統一化を図り、
統一フォーマット・システムを使って、
管理をする方が効果的です。

また、
現場レベルを超えた
グループ経営管理レベルでは、
店舗別のあらゆる経営指標を管理することで、
貴重な分析データとなります。

たとえば、
・店舗別の人件費率
・店舗別の商品回転率
・店舗別の粗利率
といったような財務指標です。

つまり、
子会社であっても、地域が違ったとしても、
グループ全体として基準にすべき指標を定め
一元管理していく視点が重要です。

Vol.39(1)

現場に遠慮して、
標準化を躊躇される社長もいらっしゃいますが、
この考え方は逆だと思います。

これらの管理は、
経営のためでもありますが、
現場にも役に立つはずです。

経営者として、
本気で会社を成長させ、
現場にとっても良い会社にするには、
このような「グループ内の標準化」
重要な視点になるはずです。

 

以上をまとめると、
地域別にグループ会社化していく場合の
グループ管理視点は以下のようになります。

STEP1) 管理する最小単位(例:店舗)を決定する
STEP2) 管理単位(例:店舗)ごとの現場指標を明確にする
STEP3) 管理単位(例:店舗)ごとの財務指標を明確にする
STEP4) データを管理する統一フォーマットを作る
STEP5) 管理単位(例:店舗)を横串管理できる仕組みにする

ちなみに、STEP5)にある「横串管理」
とても重要な視点ですので、
Vol.38 ホールディングスの横串力とモノサシ作り
の記事も是非参照してみてください。

Vol.38(1)

このような管理視点を
「連結決算の仕組み」のなかに組み込んでいくことで、
グループの現状を見える化できたうえで、
グループとして最適な経営判断ができるようになります。

是非、参考にしてみてください。

関連記事

イオンの事例

ミサワホームの事例

関連記事