ホールディングス経営においては、
各事業の遂行を各事業子会社に任せます。

権限と責任を各事業子会社へ委譲し、
ホールディングカンパニーは、
グループの頭脳として、
グループ全体のマネジメントを実施します。

そして、各事業子会社は、
一定の権限をもって事業を行っていきます。

Vol.40(1)

当然各社に権限が委譲されているため、
重要な経営資源である「人材」の採用、教育、人事考課、等も
グループ各社に任せられるケースが多いと思います。

但し、法人格は別々の会社であっても、
グループに属している子会社です。

各子会社に人材の採用から教育まで任せるといっても、
グループ全体として求めている人材とかけ離れた人材を採用したり、
グループの教育方針と全く異なる教育をしていては、
グループ全体のマネジメントも難しくなってきてしまいます。

企業は、行きつくところ「人」です。

Vol.43(1)

各子会社がどうしたいか、という以前に、
まずはグループとして、
どのような「人」を採用し、
どのように育て、どのように評価していくのか、
といった点について、
基本的な考え方を持っておくべきです。

各社に権限委譲されているとはいっても
グループの基本的な方針には従う、
という仕組みは作っておくべきです。

グループとしての人材の考え方を
ガチガチに決める必要まではないかと思いますが、
人材のベースになる部分については、
グループ内で共有されておいた方がよいと思います。

当然、グループ各社によって事業も異なりますし、
マネジメントスタイルも同一ではないため、
給与水準や細かな人事制度にバラツキは
出てきてしまう面はあるかと思います。

それでも、
「自社のグループの人材であれば、最低限、このレベルを!」
といった基準はグループとして持っておく方が良いと思います。

Vol.43(2)

そして、
このベースとなる人材の方針を作る役割は、
グループ全体を管理しているホールディングカンパニーであり、
経営者になります。

それでは、
グループとしての人材の方針を作っておくと
具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

たとえば、
・グループ内の人材交流がスムーズにできる
・グループ内のコミュニケーションの目線が合う
・グループ全体の経営マネジメントが楽になる
・新たに会社を取得して子会社化する際にも横展開しやすくなる
といったことが挙げられます。

グループ人材の方針が明確になっていれば、
どこのグループ会社であっても、
最低限求めているレベルが合ってきます。

そのため、グループ内の出向や転籍といった人材交流や
グループ内での共同取組みといった機会においても、
ある程度スムーズな交流が可能になるはずです。

グループ会社の社員であれば、
社員同士の目線や目指すべき人物像が
ある程度近くなるため、
コミュニケーションもスムーズになるはずです。

Vol.43(3)

何より、経営者としては、
グループ全体をマネジメントしていく必要があり、
仮に各社の人材がバラバラであったら、
コントロールが難しくなるはずです。

企業の文化や組織風土、価値観といったものは、
やはりそこで働く社員によって作られていくものなので、
求めているグループ人材像がないまま、
各社に人材管理を任せていると、
グループ全体の組織風土や価値観も
バラバラになってしまいます。

逆に、求めているグループ人材像が明確になっていれば、
グループ各社が人の採用をする際にも、
グループ人材像を意識して採用をすることになります。

つまり、
グループ会社どこであっても
「入口」の部分の基準が同じになります。

そのため、
入社後に、仮にその人材が
他のグループ会社に転籍するようなことがあっても、
スムーズな転籍も可能になるはずです。

結局、
連結グループ経営を実践していくということは、
グループ全体で人材も管理するということであり、
そのためには、
経営者として「求めるべきグループ人材像」を
明確にしておく必要があるといえます。

そして、
この経営者の人材に対する「意志」を
ホールディングカンパニーが、
採用方法、人事制度、教育・研修、
といった「仕組み」に変えて、
グループ全体の人材マネジメントをしていくことになります。

Vol.5

経営者には、是非
「グループとして求めるべき人材像」
じっくり考えていただき、
その意志を明確にしたうえで、
グループの人材マネジメントの「仕組み」
作っていっていただきたいと思います。