ホールディングス経営を最大限に生かすために
Vol.35のなかで、何よりも最初に、
「グループ全体の現状を正確に把握する仕組み」
の構築に取り組んでいただきたいと書かせていただきました。

それでは、この「現状を把握する仕組み」とは、
具体的にどのようなものでしょうか?

大きく分けると2種類に分けられます。

それは、
定性情報として把握する仕組み
定量情報として把握する仕組み
の2つです。

定性情報とは、ざっくりいうと、
状況を文字等で伝えてもらう情報です。

一方で、定量情報とは、
数字を使って伝えてもらう情報です。

ビジネスの世界では、
出来る限り数字にして把握したり、
伝えたりすることが重要である、
といったことが言われます。

とはいっても
なかなか数値化するのが難しい事象があるのも事実です。

たとえば、感覚、雰囲気、といったことを伝えようと思うと、
どうしても文字や抽象的な言葉での説明になってしまうことがあります。

そのため、現状を正確には把握する仕組みとして、
定性情報と定量情報の両方の視点とも重要です。
どちらか一方だけでよいというものではありません。

Vol.36(1)

但し、どちらも重要ということにしていると、
結局あいまいになってしまいますので、
企業グループとしてどちらを優先するのかを
明確にした方が良いと思っています。

それでは、
定性情報と定量情報のどちらが
より重要なのでしょうか?

私の考えとしては、
「会社ステージによって異なる」
という結論になってしまいます。

どういうことかというと、
社内管理が進んでいる会社の場合は、
少し数値偏重になりがちになっている場合があるので、
定性情報の割合を増やす必要があるかもしれません。

一方で、
社内管理が進んでいない会社の場合は、
圧倒的に数値管理が苦手です。
このようなケースでは、
やはり定量情報を重視する風土を作ることが
当面の課題となると思っています。

Vol.17

このように考えた場合、
小さな会社や中小企業の場合は、
どちらのケースが多いかというと、
圧倒的に後者、つまり数値管理ができていない場合が
多いのが実情です。

そうだとすると、
これから成長をしていく意欲のある経営者の場合には、
まずは「数値にこだわる」風土を社内に作っていくことが
重要だと考えていただきたいです。

一般論として、よく
「数字至上主義が会社をダメにする」
といったような議論もされることがあります。

これは、ある前提のもとでは正しいのかもしれません。

但し、これまで数値管理を実施していないような会社には
当てはまらない議論だと思います。

このような議論は、
一度数値管理を徹底的に追求した会社が
次のステージとしてぶつかる壁であり、
数値管理をしたことがないような会社が
議論すべき内容ではありません。

これから成長し、企業拡大をしていく
小さな会社、中小企業の場合には、
まずは徹底的に数値管理をする仕組みを
作っていただきたいと思っています。

Vol.37(3)

そしてホールディングス経営を目指す場合には、
ホールディングカンパニーが、
この数値管理をコントロールする役割を担います。

各グループ子会社の現場から
現状を正確に把握するための「数値情報」が
きちんと上がってくる「仕組み」を作る必要があります。

数値情報といっても
会計で使われる情報だけを指すわけではありません。

日々の業務の実態がわかる
営業情報、顧客情報、社員情報、
といったあらゆる経営情報を
数値に変換して把握できる仕組みです。

数値の最も優れているのは、
「客観性」であり、「具体性」です。

数値は、究極の具体化ツールであり、
社内での最もわかりやすい「共通言語」となります。

とはいっても、社内の「共通言語」のベースには、
経営理念や企業風土といったものがあることは一番重要なことです。
経営理念は、企業の存在意義として、
実直に追求し続けていただきたいと思います。

一方で、経営理念等は、あいまいな部分も多く、
時間をかけて浸透させていかざるを得ない側面もあります。
実際に浸透させるのは相当難しいものです。

但し、この難しい経営理念の浸透といった側面においても、
共通言語となりやすい「数値」を上手く活用することで、
経営理念の浸透をサポートしてくれると思っています。

抽象的概念と具体的概念は
どちらか一方では機能が難しく、
両方を上手く組み合わせ、活用することで
相乗効果を伴い、機能していくものだと思いますので。

このように数値管理を上手く活用することが、
経営においてとても重要な要素であるということを、
経営者には是非押さえておいていただきたいと思います。

ただ1点注意すべき点があります。

それは、
経営者やホールディングカンパニーの経営人材が、
数字にこだわりがなかったり、数字に弱かったりすると、
結局はグループ組織内に
数値管理の仕組みや風土は根付かない、
ということです。

Vol.36(2)

つまり、
「グループ全体の現状を数値で正確に把握できる仕組み」を
構築するためには、
経営者やホールディングカンパニーの経営人材が、
数値にこだわり、数字に強くなり、数字を読んで、数字で伝える
努力をする、といったことが必須であるということです。