ホールディングス化に活用される「会社分割」

ホールディングス化の手法として
多く活用される手法が
「会社分割」
という方法です。

※会社分割の知識編については以下をご参照くださいませ。
【用語】会社分割①(基礎と事例)
【用語】会社分割②(諸論点)
【用語】会社分割③(株主総会を要しないケース)

 

親会社が
ホールディングカンパニー形態に移行していく際に
今ある資産や負債のうち、
ホールディングカンパニーに必要なもの以外は、
その権利・義務等を切り離して、
子会社へ移します。

会社法が改正されてから、
切り離す権利や義務に関する縛りが緩くなったため、
基本的には経営者の意思で
自由に切り離す範囲を決められるようになりました。

意外と悩む資産・負債の分割範囲

実際に会社分割する
資産や負債の範囲を考えたことがあると
分かっていただけるかと思いますが、
結構悩むものです。

 

経営者としては、
どの資産やどの負債を切り離したいか、
だいたいのイメージは持っていると思いますが、
これを具体的に分解していこうと思うと、
「この資産はどうする?」
「この負債は持っていきたくない・・・」
といった感じで悩むものです。

 

多くの会社において、
損益(P/L)の方は、いろいろな切り口で
すでに分解していることが多いのですが、
資産・負債(B/S)となると、
分解していないことが多いものです。

事業別P/Lはあっても、
事業別B/Sは作成していない、
ということです。

 

このような背景があるため、
いざ「会社分割」で、
対象となる資産・負債(B/S)を切り離そうとすると、
その範囲があいまいになるのだと思います。

とはいえ、
経営上それほど必要としないのに、
事業別B/Sをふだんから作るのは、
あまり現実的ではありません。

 

そのため、
会社分割のようなときに、
一時的に苦労するのは
仕方がないことかもしれません。

会社分割後にもう一度悩みが・・・

いろいろ悩んだ結果、
資産・負債の分解が完了し、
「会社分割」を終えると一息つけますが、
残念ながら、だいたいのケースは、
会社分割完了後、間もないうちに
もう一度悩みが生じてしまうものです。

「この資産も移しておけばよかった」
「新たな負債が出てきた・・・」
「この場合はどうなるのだろう?」
「取引先の都合で取引口座を移せない・・・」

 

新しい組織デザインが軌道に乗るまで、
このような「想定外」のことが生じてしまうことも
多々あるということです。

とはいえ、その都度、
検討し対応していくしかありませんが、
想定外が重なってくると、
最終的にある部分の「歪み」が顕著になってきて、
弊害が出てくることもあります。

 

それは、どの部分かというと

「お金」

です。

 

想定外に、
ホールディングカンパニーに
お金が無くなってしまったり、
予想していたようなお金の動きが
グループ内で起きたり。

最終的に、
あらゆる事業活動は
「お金の動き」
に表されますので。

 

そして、この歪みに対応するために、
不要なグループ内のお金の動きを増やすことにつながり、
グループ内の取引がグチャグチャになってしまったりします。

 

一般的には、
税務的なケアや会社法上の手続き、
といった専門的な部分は
専門家の支援のもと、
きちんと対応していることが多いものですが、
この「お金」の将来予測は、
完全に予測対応できていないことも多い、
ということです。

グループ内のお金の流れを見える化

事後的に、
このような「お金の悩み」が生じないように、
グループ内のお金の流れについて、
具体的に見える化しておくことが
重要となるでしょう。

 

たとえば、
会社分割前の半年前くらいの実際の数値を使って、
その後半年間でどのように
グループ資金が動いているのかを
書き出してみるような作業をしてみると
よいのではないでしょうか?

過去の実績数値を使って、
きちんと見える化しておくことで、
正確に現状把握をします。

 

そのうえで、事前に、

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会社分割した前後で
グループ内のお金の流れがどのように変わるかの
「Before ⇔ After」を見える化しておく
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ことが大切です。

 

現状のお金の流れを正確に把握していれば、
今後のグループ内のお金の流れのシミュレーションも
精度高く予測できる可能性が高まります。

経営者としても、
グループ内のお金の流れを把握しておくこと自体は、
とても重要な視点だと思いますし。

 

事前準備にそこまで不要では?
と思われるかもしれませんが、
後の苦労・悩みを少なくするためには、
やはり「事前準備8割」だと思います。

総合的に見ると、
きちんとした準備をした方が
労力は抑えられるはずです。

★★★★★★★
グループ組織デザインを変更する前に、
グループ内のお金の動きを、
きちんと見える化していますか?
★★★★★★★