グループ戦略「税」の逆風?

今週月曜日の日本経済新聞に掲載されていた
「グループ戦略『税』の逆風」
というタイトルに目をひかれました。

私は、グループ経営において
税金のことが本業を差し置いて
メインテーマになるべきではないと思ってはいますが、
きちんとしたグループ経営戦略の中には、
当然、グループ税金戦略があるべきだという思いはあります。

 

つまり、
税金戦略が単独で存在することは無く、
あくまで経営戦略の一環として税金に対する戦略がある、
という考え方です。

グループとしての経営戦略を明確にすれば、
自ずと税金戦略も見えてくるものです。

 

あくまで税金戦略が「入口」ではなく、
グループとしての経営戦略が「入口」であるべきです。

今回、日本経済新聞に掲載されていた内容は、
私の上記のような考えを
後押しするような内容だと感じました。

日本経済新聞の掲載内容の趣旨

日本経済新聞では、

—————————————
租税回避を主目的にした
グループ取引や組織再編は
今後認められづらくなる
—————————————

という内容が掲載されていました。

 

要するに、
節税を「入口(目的)」にした取引や組織再編は認めません、
という趣旨だと言えます。

 

何が「入口」であるかどうかは、
判断がとても難しいため、
この点について争いは避けられません。

但し、明らかに節税(租税回避)が
「入口」であるような取引は、
今後は注意が必要だということでしょう。

 

今回主に取り上げられていた
IBMヤフーの事例について、
以下に少し見てみたいと思います。

具体例(IBM事例)

日本経済新聞の内容を、
かみ砕いて要約すると以下の感じです。

IBMは訴訟には勝ったけれど、
以下のような内容を含む判決だったとのことです。

————————————————————————————————–
●租税回避かどうかの判断基準
①目的
②手段
③結果
の3つがある。

●今回のIBM裁判判決で示されたポイント

   従来  今後
 ①目的 従来は「税金を減らす以外の目的」による
取引であることを主張すれば、
覆されることは少ないと言われていた。
事業の目的の有無は、
租税回避の判断の決め手にならない
との考えを示した。
 ②手段 グループ内取引は、
あくまでグループ内取引という前提があった。
グループ内取引といえども、
独立した当事者間の通常取引か否かで
判断する必要がある。

————————————————————————————————–

具体的には(ヤフー事例)

また、注目されていた案件として、
ヤフーの事例があります。

こちらについても
日本経済新聞の内容をかみ砕いて
要約すると以下の感じです。

————————————————————————————————–
●内容
約540億円の繰越欠損金のある
グループ会社をヤフーが買収して合併し、
税額を圧縮したことが「租税回避」とされた。

●最高裁の判決ポイント
・法の趣旨・目的を逸脱した乱用と判断
・通常は想定されない手順や方法に基づいたり、
 実態とは乖離した形式を作りだしたりするなど不自然である
・事業目的に合理性が無い
————————————————————————————————–

グループ内組織再編は税金とセットで検討する

連結グループ経営のなかでは、
グループ組織再編は避けて通れないテーマでもあります。

その「入口(目的)」が「租税回避」であれば、
上記のように国から否認されるリスクが、
今後はより高まることでしょう。

 

一方で、
租税回避目的でないグループ組織再編の場合は、
どうでしょうか?
グループ経営戦略の結果として、
グループ組織再編が必要になるようなケースです。

 

この場合には、
入口(目的)として問題はありませんので、
正々堂々と取り組めば良いと思います。

但し、グループ内組織再編には、
いくつかの税務上のルールがあり、
これを見逃してしまうと、
グループ全体として多大な税金ロスが
発生してしまうリスクがあります。

動き出してからでは遅い、
といったこともあり得ます。

 

そのため、
入口(目的)が租税回避で無い
グループ組織再編だとしても、
税金については必ず最重要テーマとして、
かなり早い段階から専門家を交えて
議論をしておくことが望まれます。

★★★★★★★
グループ内取引について、
「租税回避目的ではない」
と主張できますか?
★★★★★★★