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Vol.105 機能別グループ会社と連結決算管理

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グループ経営を進めていくうえで、
多くの会社が行きつく形として、
「機能別」にグループ会社化していくデザインです。

たとえば、
・販売部門と製造部門を別会社にする
・物流子会社を作る
・間接部門を集約してシェアードサービス化する
といった感じです。

機能別にグループ会社化していくきっかけにも
いろいろあると思います。

「この機能の専門性をより高めるために別会社化しよう」
「自社で足りない機能を補うために、
専門機能をもつ会社を子会社化しよう」

きっかけはどうであれ、
機能別に会社を分けるという思考は、
経営者の思考に近いグループデザインなのだと思います。

1つの会社であっても
大きくなるにつれて、
機能別に部門が出来てくるものです。

グループ経営をしていくステージにおいても、
各部門機能をより高度化するために、
機能別に分社化する発想は自然と言えるでしょう。

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今回は、
このような機能別グループ会社における
連結決算の仕組みについて
確認をしてみたいと思います。

まず、
機能別グループ会社化した場合に、
注意していただきたい点があります。

それは、
①部分最適の排除
②グループ顧客の見える化
です。

最初に「①部分最適の排除」ですが、
これは機能別グループ会社形態が
陥りやすい罠です。

各グループ会社が
専門性を高めていく姿勢は素晴らしいことですが、
ついつい「部分最適」な活動に
陥りやすくなります。

これが、
会社の一事業部であれば、
修正が効きやすいのですが、
別法人として機能が存在する場合には、
修正が効きづらくなります。

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というのも、
1つ法人として評価され、
存続していくためには、
会社として利益を出していくことが求められるからです。

それが、
「グループ子会社の利益=グループ全体の利益」
となれば話は単純なのですが、
現実には、
「グループ子会社の利益≠グループ全体の利益」
となるケースもあるのです。

基本的に、
各グループ法人は、
各法人としての利益追求が要求されがちですので、
グループ全体で見たときには、
どうしても「部分最適」になりやすいです。

このような「部分最適」を排除し、
連結グループとして最適になるような
バランスをとっていく経営が、
真の連結グループ経営といえるでしょう。

そう考えると、
グループ全体のバランスを図り、
リーダーシップを発揮し、指揮していく
司令塔の役割が不可欠です。

私は、
この役割を担うのが、
「ホールディングス経営におけるホールディングカンパニー」
になると思っています。

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グループ最適になるように、
グループ全体の見える化をして、
各子会社を適切な方向へ導いていく役割を
ホールディングカンパニーが担います。

このような
グループ最適を図っていく機能を
連結決算の仕組みの中に
組み込んでいく視点が大切だと考えます。

 

次にもう1つのポイントである
「②グループ顧客の見える化」についても
少しお伝えしたいと思います。

先程の「部分最適」の延長線上の
お話になるかもしれませんが、
機能別で専門性を高めていると、
ついつい外部顧客のことが
見えなくなることがあります。

たとえば、
製造部門を別子会社にした場合、
製造部門の直接の顧客が、
グループ内の販売会社だったりすることがあります。

そうすると、
製造子会社は、
どうしてもグループ会社の方ばかりを
見て仕事をするようになってしまいます。

1つの会社の中でさえ
距離が出やすい製造部門と販売部門が
別会社になり、直接の取引相手になると、
より一層「部分最適」が助長していきます。

このような事態を避けるためにも、
グループ内の各社が、
外部にいる「真のグループ顧客」の方を見て、
業務をしていける環境をつくることは、
経営者として重要な任務です。

そのためには、
「グループ顧客を見える化する仕組み」
として、連結決算を活用していくことが有効です。

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機能別グループ会社形態において、
グループ利益を最大化させる
連結決算の仕組みを構築するのは、
容易ではないかもしれません。

但し、
きちんと連結決算に向き合い、
連結グループ経営の仕組みとして
組み込んでいければ、
必ず効果がでるはずです。

グループ経営者には、
連結グループの「見える化」を実現して、
成長し、永続するグループ経営を
実現していただきたいと思います。

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